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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2009年8月7日

チームメイトを守れ

マーベリックスの試合で、ネイト・アドコック投手が打者の頭にデッドボールをぶつけて、即退場になるという場面があった。アドコックは、ダグアウトに戻るなりグラブを壁に投げつけるなど大暴れ。その試合では初の危険球で、明らかに故意だとは思えなかったため、相手監督も不可解な判定だと試合後に話した。

その少し後、相手チームのピッチャーが死球を与え、彼も即退場となった。バッターがピッチャーマウンドに向かう動作を見せたため、両ベンチがグラウンドに飛び出し、あわや乱闘という騒ぎになった。結果、死球の入り乱れる後味の悪い試合となった。

試合後のロッカールームでアドコックにインタビューしたら、こんな回答が帰ってきた。

「野球じゃチームメイトを守らなきゃいけないんだ。昨日の試合で、失点やヒットを許したピッチャーに(チームメイトの)ボニーヤがぶつけられて、今日はドミンゲスがダブルプレーの際にタックルを受けた。・・・初球に彼がバントのしぐさを見せて、三塁ランナーが飛び出すのが見えた。だから内角高めに球を投げたんだ。まあそれも試合の一部だよ。」

前日からの因縁があったことをほのめかすようなコメントだった。これを記事に載せたところ、それを読んだ相手チーム監督は怒り心頭。更には、アドコックと相手投手に150ドル、両監督に25ドルの罰金が課せられた。面白いことに、アドコックは罰金が生じた数日後に、マリナーズからパイレーツにトレードされた。

日本では死球を与えた投手が帽子を取って謝罪の意思を示すこともあるが、米国ではむしろピッチャーが「何だ、やる気か」と言わんばかりに、打者に向かって歩いていく。チームメイトが危険にさらされたら、報復するのが当たり前なのである。日本人がチームの輪を重視するというが、実は米国野球でもチームとしての意識が非常に強いのだと、番記者をしてつくづく感じるようになった。

自分の書いた記事で選手や監督が罰せられることもあるのだから、記者の責任というのは思った以上に重い。

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