自己紹介

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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2009年9月27日

イチローの抗議は正しかったのか?

イチローがメジャー9年目で初の退場処分を受けた。

外角への直球を見逃して三振した後、バットでホームプレートの横に線を引いてアピール。この行為で球審から退場を宣告された。

ビデオ映像を見る

以前紹介したBrooks Baseballというサイトでは、メジャーリーグでの全ての投球をコンピューターで分析している。以下の画像は、問題のイチローの打席で、ボールがストライクゾーンのどこを通ったかを示したものである。


Source: Brooks Baseball

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2009年9月19日

高校フットボール

今年もやってきた秋のフットボールシーズン。高校フットボール第2週目は、先月開校したばかりの学校のホーム開幕戦を取材してきた。


試合は64−8と一方的だったが、生徒や親、地域コミュニティが一体となって応援する熱気を感じられただけで満足。ボクの通った高校は、全校挙げて部活動を応援するということがなかったので、高校スポーツを取材していると羨ましく思うことが多い。

オフィスに戻って自分の記事を書いた後は、非常勤記者たちが送ってきたものを校正。残念だが、ハイデザートでまともな文章を書ける人材は希少である。地元の短大に通うジャーナリズム専攻の学生たちを雇っているのだが、文法、綴りから新聞の統一基準に及ぶまで間違いだらけである。何を言いたいのか分からない文が混じっていることすらあるから困ったもの。締切りを大幅に遅れての入稿となってしまった。

ジャーナリズムの行く末が心配である。

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2009年9月16日

ランチョクカモンガ・クエークス

ハイデザート・マーベリックスの試合を取材しに、ランチョクカモンガ・クエークスの本拠地、ザ・エピセンターへ行ってきた。

レギュラーシーズン中は、人員不足でなかなかアウェーの取材には行けないのだが、プレーオフともなると話は別。勝ったチームがカリフォルニアリーグの決勝シリーズへと進出する。

日本人観光客にも人気のアウトレットモール、オンタリオミルズの近くにあるザ・エピセンターは、ハイデザートとは同じシングルA球団のものとは思えないほど、施設が充実している。外野フェンスの外には高い木々が生い茂り、その遥か後方にはサンガブリエル山脈が広がっている。



バックネット裏には、記者席を含む3階建ての建物があり、VIP席がいくつも入っている。また、ラリーソーラスというマスコットの恐竜(?)が審判にちょっかいを出し、審判もそれに応えてプロレス技をかけたり、ダンスを披露したりしていた。まさにマイナーリーグと言わんばかりの演出である。





カリフォルニアリーグを90年代から取材し続けているライバル紙の記者の話では、マーベリックススタジアムが1991年にオープンした時は、最新設備が話題を呼び、わざわざロサンゼルス近郊から観戦に行く人もいたらしい。時代の変化は目まぐるしいものだ。

ちなみにクエークスは、今シーズンが始まる直前、マーベリックスの現オーナーであるブレットスポーツ&エンターテイメント社によって買収された。マイナーリーグは同一オーナーによる複数球団保有を認めていないため、マーベリックスは現在売りに出されている。

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2009年9月14日

アメリカ人から見るイチローの挑戦

イチローが、史上初の9年連続200本安打を達成した。インターネットで見る限り、日本中がこの偉業に沸いたようである。

試合後、マリナーズのロッカールームでは、ケン・グリフィー・ジュニアを中心としたチームメイトたちが、イチローにビールを浴びせて祝福した

しかし、ある日本の記事では、シアトルタイムズ紙の記事を引用して、この記録に対する米国での評価が非常に冷めていることを伝えている。数日前にヤンキースのデレク・ジーターが、鉄人ルー・ゲーリッグの持つ球団記録を破った時の熱狂と比べると、ほとんど注目を集めていないというのだ。

この指摘は残念ながら当たっている。ニューヨークとシアトルではマーケットの規模が違う上、ファン層が地元中心のマリナーズに対して、ヤンキースはその歴史と伝統ゆえ、全米にファンを持つ。ましてジーターはメジャーリーグの顔ともいえる存在。いくらイチローが日本のスターといえど、扱いが異なるのは仕方がない話ではある。スポーツ専門局ESPNのニュース番組でも、ジーターの記録達成が冒頭で扱われたのに対し、イチローの200本安打は試合結果と一緒にわずかに触れられただけだった。

数十人もの日本人記者が、イチローの一挙一動を追う様子を不思議に感じているアメリカ人は多い。マリナーズの試合と練習を見学に出かけたあるマイナーリーグ選手に、印象に残ったことを聞いたら、「バッティングケージからダッグアウトに戻ってくるイチローを、5人のカメラマンが囲んでいた」ことだという答えが返ってきた。

このことについて、シアトルタイムズ紙でマリナーズ番記者を務めるジェフ・ベイカーが興味深いブログを書いていたので紹介する。ベイカー記者は前述のシアトルタイムズ紙の記事を書いた人物でもあり、以前マリナーズの取材で会ったことがある。試合中も常に更新を続ける熱心なブロガーだった。

彼は9月11日のブログで、日本人の熱狂ぶりに対して悪意をむき出しにした発言をするアメリカ人に警鐘を鳴らした。好奇心を持って見るだけならまだしも、インターネットなどで敵意や人種偏見に満ちた書き込みがされているのだ。

カナダ出身のベイカーは、自国選手がアメリカ人相手に活躍することがどれだけ誇らしいことかを理解できると述べている。イチローの偉業はまさにアメリカンドリームであり、日本人は彼の成功をわが事のように感じているのであって、それに腹を立てる理由はない。まして、日本人がこれだけ騒ぐのは、アメリカのベースボールに敬意を払っているからに他ならない。

「ダッグアウトにバットを取りに行くイチローを追う日本人記者たちが、足やカメラのケーブルにつまづくのを見て、私たちは笑ってしまうだろうが、同時に強いプライドを感じずにはいられない」

同時多発テロの起きたこの日に、イチローの記録への挑戦は、アメリカ人にこれとない機会を与えてくれるのだとベイカーは言う。60年ほど前まで残酷な戦争をしていた二つの国が、51の背番号を通じてつながる。そこでは国境や文化の違いなど消えてなくなる。「違いのもたらす結果が悲惨な現実となったこの悲しい日に、イチローの挑戦は、我々がしがみつける希望を与えてくれるのだ」と彼は締めくくった。

イチローの大リーグでの挑戦が、アメリカ人の中で単なるスポーツの域を超えてとらえられた時、イチローが真の意味でスーパースターになるのかもしれない。

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2009年9月12日

松坂の不振を読み解く

今季は故障に悩まされ、調整方法を巡ってチームとも対立し、波紋を呼んだ松坂大輔投手。日本人投手のメジャーリーグでの苦戦が目立つ中、若い松坂も3年目にして停滞を見せた。

2008年の松坂の成績は、防御率2.90で18勝3敗。一見すると、素晴らしい一年だったように見える。しかし、セイバーメトリクスの見解に立つと、彼はメジャーリーグで最もラッキーなピッチャーの一人だったということになるのだ。

投手の勝敗がチームの強さに大きく左右されるということは以前ブログで書いた。松坂が18勝3敗という記録を残せたのも、メジャー屈指のレッドソックス打撃陣に支えられたことは容易に想像がつく。

では防御率がアメリカン・リーグ3位というのはどうか。防御率は、勝敗成績に比べれば投手の実力を正確に反映していると言えるが、実はチームの守備力や球場の広さ、運などによって左右される部分も大きいのである。

以前紹介したFanGraphsには、各投手のBABIP(Batting Average on Balls In Play)という数値が載っている。BABIPとは、本塁打以外のフェアグランドに飛んだ打球がヒットになる確率を示す。言い換えれば、ホームランと三振を除いた打率のこと。これは、一度バットに当たった打球がヒットになるかは、投手が完全にコントロールできないという考えに基づいている。

いい投手であればあるほど、バットにボールを当てられてもアウトになる確率が高いと思われがちだが、客観的にデータを見てみると、ある一定以上の期間プレーしているほとんどの投手の通算BABIPは、.290から.300の範囲に収まっている。野茂英雄投手のメジャーでの通算BABIPは.293、ロジャー・クレメンスは.294、吉井理人投手は.291である。

よってある一年、極端にBABIPが低いというのは、それだけ運がよかったということでもあるのだ。松坂の昨年のBABIPは、.267と非常に低い。これなら防御率が2.90というのもうなずけるが、それを毎年というのは無理な話である。

次に、FIP(Fielding Independent Pitching)というデータを見てみる。これは、守備が関わる打球を排除した防御率を表す。BABIPと同じ考えにもとづき、三振、四死球、ホームランという、投手がコントロールできる結果だけをもとに割り出されている。面白いことに、FIPは防御率よりも、翌年の防御率と関連性が高いという結果が出ている。ちなみに松坂の2008年のFIPは4.03で、2.90よりずっと高い。

またFanGraphsには、フライ性の打球がホームランになった割合も記載されている。2008年の松坂は6.1パーセントで、2007年の10パーセントと2009年の15パーセントに比べるとずっと低いことが分かる。

昨年の松坂が、9回あたり5四球を与えながら2.90という防御率ですんだのは、運がよかったというしかない。

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ジョーダンが神になれない理由

日本ではあまり話題にならなかったようだが、元NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンバスケットボール殿堂入り表彰式が行われた。

ジョーダンとともに90年代のNBA全盛期を築いた、デービッド・ロビンソンとジョン・ストックトンに加え、1988年から現在までユタ・ジャズの監督を務めているジェリー・スローンと、ラトガース大学女子部のC・ビビアン・ストリンガー監督も殿堂入りし、まれにみる豪華な顔ぶれの表彰式ととなった。

しかし、やはり注目の的はジョーダン。史上最高のアスリートの一人として誉れが高いが、引退してからはどこかパッとしなかった。NBAチームの経営者となったが、その腕はイマイチ。そんなジョーダンが久々に晴れ舞台に立つということもあって、彼がどのように自分の競技人生を振り返るのか、多くのファンが興味津々だったに違いない。

ところが、そのスピーチの内容が物議を醸すこととなる。壇上で感極まって涙を流したジョーダンが口にしたのは、過去の対戦相手や指導者などに対する辛辣な言葉。いかに自分が負けず嫌いで、自分を見くびった人々を見返そうとしたのかを延々と語った







ストリンガーやスローンが胸を打つスピーチをした後だけに、その軽率なジョークが更に薄っぺらく聞こえてしまう。ジョーダンらしいと言ってしまえばそれまでだが、バスケットボールの神様とも呼ばれる人物にしてはあまりにチープな内容に、がっかりしたファンも多いはず。

彼が人並みはずれた競争心の持ち主で、史上最高の選手であることは、周知の事実である。だからこそ、名誉ある表彰式で、ジョーダンという人物がそれ以上の存在であることを証明して欲しかった。

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2009年9月9日

「野球をやって目指すなら、ここまで来たい」

夏の甲子園で日本中を湧かせた球児達が、野球の本場にやってきた



カリフォルニア州コンプトンで行われた日米親善高校野球大会で、日本選抜チームは、南カリフォルニアの有望高校生たちを集めたアーバン・ユース・アカデミーと対戦。通算成績1勝1敗1分けで大会を終えた。

甲子園ベスト8以上に残った選手を中心に構成された日本代表は、現地の日系人宅にホームステイをして米国の文化を学び、大リーグの試合観戦も行った。エンジェルススタジアムで練習を行い、ドジャーズスタジアムでは黒田選手と対面した。

米国の高校生たちと対戦し、間近でメジャーリーグに触れた日本の高校生たちは、少なからず刺激を受けたようだ。「プロ野球と違ってメジャーの人は体もすごい。ガタイがすごいです。野球をやって目指すなら、ここまで来たいなと思いました」と話すのは、甲子園で154キロを記録したプロ注目の明豊の今宮健太選手。親善試合第2戦に登板し、90から93マイル(145キロ〜150キロ)の直球で、現地スカウトをもうならせた。

日本選抜は第1戦をものにしたものの、第2戦では適時打を浴びて引き分け。第3戦は競り負けた。体格では一回りも二回りも小さい日本は、セーフティバントや進塁打を混ぜた小刻みな攻撃と、ピッチャーの多彩な変化球、正確なコントロールで、アグレッシブな野球をする米国チームと対等に渡り合った。



「日本の選手は勝つための野球を仕込まれている」と試合に来ていた北海道日本ハムファイターズの大淵隆スカウトは述べる。高校生時代から一点をもぎ取る野球を教え込まれている日本は、粗削りの米国高校生に比べ、試合運びという点では秀でている。しかし、「打って、投げて、走るという素材では(アメリカが)上」と大淵スカウトは分析。

中京大中京を甲子園優勝に導き、日本選抜監督を務めた大藤敏行氏も、パワフルで力強い米国の野球を見て、勉強になったという。「日本は野球しかやってない。こっちはそうじゃないでしょ」と、高校まで複数のスポーツをするのが当たり前の米国との違いを認めた上で、「そういう子たちに負けないように頑張ります」とコメントした。

第2戦に先発した中京大中京の堂林翔太投手は、7回を無失点に抑える好投を見せ、「低めの投球を心がけた。甲子園でもやってきたことが通用した。パワーはあるけど、いいところをつけば抑えられる」と自信をのぞかせた。今宮選手も、年下なのに自分たちより大きい選手を見てびっくりした一方、スピーディーな動きでは自分たちの方がうまいと感じたと話す。

アーバン・ユース・アカデミーの第1戦先発投手を務めたアーロン・サンチェズ選手は、大リーグのスカウトも注目する逸材。彼は、日本チームの印象について、「基本にとても忠実。ボールをバットにあてるのが上手で、ミスをしない。狙い球に的を絞ってくる」と語った。

過去に、桑田真澄や松井秀喜、福留孝介といった名選手を輩出した日米親善高校野球大会。若い頃、実際に米国のベースボールに触れたことが、彼らのメジャー行きの夢を育んだ。高校時代の米国遠征が、桑田投手にとって「心に残る旅」になり、英語を勉強し始めるきっかけになったのだと、日本選抜の渉外担当を務めた田名部和裕氏は言う。

高校卒業後に直接米国行きを希望する菊池雄星投手のように、日米親善野球大会に参加した選手達の中にも、大リーグのみならず、広い世界に羽ばたいて活躍したいという目標を持つようになった選手は多いに違いない。



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