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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2009年11月12日

シアトルで最も愛される男

ケン・グリフィー・ジュニア(39)がシアトル・マリナーズと一年契約に合意した。

ひざに故障を抱えるグリフィーは、今季は指名打者として古巣の再建に力を貸した。シアトルのファンの間では、今回の契約に賛否両論の声が上がっているようだが、グリフィーのチームへの貢献は個人成績だけでは測れない。

昨年まで不穏な空気が漂っていたマリナーズのクラブハウスが、今年一転して明るくなったのはグリフィーの加入が大きいと言われている。これはボクもマリナーズを取材した時に少なからず実感した。

グリフィーは試合前のロッカールームで誰彼かまわずジョークを飛ばしたり、いたずらをしたりする。同じ時期にマリナーズへ移籍したベテランのマイク・スイーニーにサプリメントの一気飲みをさせてチームを沸かせたり、初対面のボクが掲示板を読んでいるのを邪魔してきたりと、とどまるところを知らない。

これまで特別な存在だったイチローとて例外ではない。グラウンドでウォームアップしていたイチローに突然襲いかかって、力ずくで地面に押し倒し、上からのっかかってギブアップさせた。笑顔でじゃれあう二人はまるで小学生である。グリフィーがやって来るまで、スターのイチローにそんなことをできる選手はいなかったであろう。

その後、ボクがクラブハウスとダッグアウトを結ぶ通路を歩いていると、イチローが「ジョージ(グリフィーのニックネーム)」と叫びながら笑顔で駆け抜けていった。ロッカールームで一人静かに着替えていた男と同一人物とは思えない。

イチローのみならず、多くの大リーガーから尊敬を集めるグリフィー。長年苦しんできた怪我がなければ、どれだけの記録が打ち破られていたことか、今では想像することしかできないが、彼の野球界での功績が数字だけではないことを、もう一年噛み締めることになるに違いない。

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