自己紹介

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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政やアジア移民に関する調査報道を担当。数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2010年12月27日

食欲のホリデーシーズン

肥満率ダントツ世界一のアメリカを支えているのが、感謝祭から元旦までのホリデーシーズン。家族の集まりや、友達同士のパーティーなどを言い訳に、暴飲暴食の日々が続く。ボクのオフィスでも、ほぼ毎日のように、同僚からの差し入れやポットラックパーティーがあった。

そして今年はクリスマスと元旦が土曜日に重なったため、クリスマスイブと大晦日の金曜日が振り替え休日となり三連休が続く。

日本ではクリスマスイブを豪勢に祝う人が多いが、アメリカでは25日のクリスマス当日にクリスマスディナーが振舞われる。日本と違って、アメリカのクリスマスは家族で過ごすもの。こっちに家族のいないボクを不憫に思ったアメリカ人が、感謝祭に引き続き、家族の集まりに招待してくれた。

報道部でインターネット担当のサラは、髪の色が常に変化する今どきの25歳。職場では寡黙ながら、酒を飲むと毒舌のパーティーガールに変身する。それでいて、親思いで料理もこなすしっかり者。サラにプレゼントを届け、レイカーズファンである彼女の家族とバスケの試合を観戦しながら、軽食をご馳走になった。

その後、仕事で知り合った公選弁護士デーブの家に招かれて夕食を食べた。デーブは以前、大きな法律事務所で働いていたが、その温厚で優しい性格が合わず、今の職に移った。そろそろ定年だが、シングルマザーの娘とその一人息子を引き取り、一緒に暮らしている。気さくな性格で、裁判所でお互いのことを話しているうちに仲良くなった。


母親に習ったという伝統的なクリスマス料理を一人で準備し、ボクや娘たちにふるまってくれた。アグレッシブでビジネスライクな(Type Aと呼ばれる)人が多いと言われる法曹界で、デーブのような存在は貴重である。いつかは恩返しをしたい。

ちなみにホリデーシーズン明けは、体重計に乗って恐怖につりつかれた人々で、フィットネスクラブが大繁盛する。新年の抱負で減量を掲げる人が多いのも納得である。

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2010年12月19日

サンタさんにお電話

うちの新聞では、この時期になると毎年、サンタ・ホットラインという無料サービスを行う。子供たちがサンタクロースに電話をかけて、欲しいプレゼントを伝えるというサービス。そのサンタ役をボクら従業員が演じる。

どうせイタズラ電話ばっかだろうと思い、これまで参加したことはなかったのだが、今年は編集長ドンの強い要請もあってやってみることにした。



ホットラインを設けた部屋に入ると、既に他の部署からのボランティアが、「ホッホッホー、もしもしサンタですが」などと低い声で電話を受けていた。サンタクロース役は男性が担当するのだが、サンタの奥さんであるMrs. Santaに話したいとリクエストをする子供もいるので、女性職員も近くで待機し、バックグラウンドで鈴を鳴らしてくれていた。

サンタクロースは、日本とアメリカではその仕組みが若干異なる。日本のサンタは子供の枕元にプレゼントを置いて帰るが、アメリカのサンタは暖炉にかけられた靴下の中や、リビングルームに置かれた大きなクリスマスツリーの下にプレゼントを残していく。日本の住宅事情では、こうした習慣は難しい。

もちろん共通している部分も多い。北極からトナカイのひくソリに載ってやってくること。子供が寝ている時にやってくること。そしていい子のところにしかやってこないこと等々。

最初はうまくできるか不安だったが、一度やり始めるとのってしまう性格なので、「ホッホッホー、北極のサンタクロースだけど、お名前は何ですか」と、電話越しに怪しいアジア人がいることも知らない無邪気な子供たちに話しかけた。ディズニーランドで、ミニーマウスに入っているおじさんの気分である。気のせいか隣にいる親の失笑が聞こえてきた。

大人から見れば、つっこみどころ満載のサンタクロースだが、ホットラインに電話をかけてくる子供たちは心からその存在を信じている。サンタが電話に出た途端、大きく喜びの声を上げる子供もいて、興奮する姿が目に浮かんだ。兄弟姉妹のいる場合は、みんなサンタさんに話したくて受話器のとりあいになることも。自分がちゃんと「いい子リスト」に載っていると分かった時の子供の嬉しそうな声を聞くと、どうしてもその願いをかなえてあげたくなってしまう。

人気のプレゼントはダントツでiPod。ただ親への金銭的な負担を考えて、「iPodは人気があって、中国のエルフ妖精たちが頑張って作っているけど、もしかしたら無理かもしれないから、他に欲しいものはあるかい」と曖昧な返答にとどめておいた。

男の子にはやはりゲーム機が人気。Wiiを欲しがる子供が多かったが、X-Boxもそれに劣らぬ勢い。プレイステーションを挙げる子供が少なかったのは、ソニーの不振を反映しているのか。

女の子の間で人気だったのが、ジャスティン・ビーバー。人気があるのは知っていたが、サンタを信じる年齢層まで広がっているとはちょっとビックリだった。コンサートチケットは入手困難でサンタでもとるのが難しく、現在ジャスティンと交渉中とだけ伝えた。



アパートに住んでいる女の子が馬が欲しいというので、馬は手間がかかるし、餌代もばかにならないから、ハムスターにしなさいと答えてやった。親は良心的なサンタに喜んだに違いない。

サンタに質問する子供もいて、そういう場合はこっちのクリエイティビティが試される。男の子が好きなスポーツは何と聞いてきたので、「サンタはフットボールが好きなんじゃ。だから太っているのだよ。ついこの間もラデニアン・トムリンソン(NFLのスター選手)と試合をしたばかりじゃ。君もちゃんと野菜を食べればサンタのように強くなれる」と教育的な回答をした。

当初、予想していたイタズラ電話は一件もこなかった。しかもサービス時間中、ずっと電話が鳴り響き、6人のボランティアが休むことなく対応し続けたにも関わらず、全てのお客さんには対応しきれなかった。

これだけ世の中にサンタクロースという存在に希望を抱いている子供たちがいることを知って、少しものの見方が変わった気がする。

この従業員は見た目もサンタである。 

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2010年12月9日

アメリカでマスクをする時はご注意を

アメリカに長く滞在している人は気付くかもしれないが、アメリカ人はマスクをしない。

最近、急に冷え込んできたため咳が出始め、周りの人に風邪をうつさないようにと、職場にマスクをしていくことにした。浮いた存在になることは間違いないが、健康と引き換えなら仕方のないことと腹をくくった。考えてみると、アメリカでマスクをするのはこれが初めてのことだ。

しかし、駐車場からオフィスまで歩いていると、人事のパトリシアが近づいてきて、「オフィスで何かあったの」と不安げな表情で聞いてきた。やっぱりきたかと思いながら、「いや、ただ、風邪をひいてるだけだよ」と説明。アメリカ人がマスクを見て想像するのは、鳥インフルエンザのような深刻な疫病の流行であって、やたらめったらにしていると、不安をかきたててしまう。

そしてオフィスに足を踏み入れると、みんなの鋭い視線を感じた。警察担当記者のビアトリスは、ボクを見るなり、「あんた、ほんとアジア人ね」と大爆笑。空港で見かけるアジア人はマスクをしているというのが、彼女のイメージらしい。

追い討ちをかけるように、市政担当記者のブルックが、「他人にうつさないためにしてるの?それとも自分が風邪を引かないようにするためなの?どっちにしろあんまり意味がないと思う」と言い放ち、面白がってiPhoneでとった写真をfacebookにのっける始末。

アメリカでは、うがいやマスクが日本のように浸透していない。むしろ、どちらも医学的に効果がないという見方が一般的である。



教育担当記者のナターシャは、「アジア人はファッションにうるさいのに、どうしてマスクはするの」と質問してきた。

逆にこっちから、「どうしてマスクをしないの」と聞いてみると、周りの目が気になるからという意見が大半をしめた。アメリカ人の目から見ると、マスクはダサいのだろう。

ある光景が、見る人の育った文化によって、全く異なった見え方をしてしまう例であろう。ちなみに、アメリカで男性が小さなカバンを持っていると、man purse(男のハンドバッグ)と呼んで馬鹿にされる。

その後もデスクの横を誰かが通る度に、「それは何なの」と尋ねられた。ボクがいない間に、ナターシャにコソコソと、トモヤに何があったのかと聞く輩もいたらしい。正直、予想以上の反応であった。みんなのためにと思ってやったことが、逆に同僚の不安をあおってしまった。

意地もあって、今日はマスクをつけてずっと仕事をしたが、さすがにマスクをして裁判所に行くのはやめようと思う。

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2010年12月3日

大統領の2倍の給与をもらう市職員

仕事後に、ジャーナリスト協会ロサンゼルス支部主催の講演を聴きに行ってきた。オフィスからダウンタウンまで1時間半近くかかるので、普段はなかなか出席できないのだが、今回は全米で話題になっているベル市職員の高給与問題をすっぱ抜いた記者が話すというので、チャンスを逃すわけにはいかない。

ベル市はロサンゼルス郡にある、人口4万人弱の小さな町。住民の四分の一が食料の無料配給を受ける、とても貧しい自治体である。そこの職員たちが、日本円にして数千万円もの給与を受け取っていることが分かったものだから、不景気に苦しむ国民は怒り心頭。

同市の総務責任者であるロバート・リゾーは、オバマ大統領の2倍近い78万ドル(約6700万円)もの給与を受け取っていた。リゾーは以前、ハイデザートのヒスペリア市で責任者を務めていたので、うちの新聞でも大きく取り上げた。

これをスクープしたのが、ロサンゼルスタイムズのジェフ・ゴットリーブとルーベン・バイブという記者で、今回の講演ではゴットリーブ氏が取材の経緯を語ってくれた。ロサンゼルスタイムズ本社の近くにあるバーには、南カリフォルニアで活動するジャーナリストが10人程集まって、ゴットリーブ氏を囲んだ。

他の参加者たちは、ほとんどがベテラン記者で、たぶん僕らが最も若かっただろう。小さな町に住んでいると、他のジャーナリストとの交流の機会があまりないので、こういう場は貴重である。

ゴットリーブ氏いわく、今回の事件にはウォーターゲートのような秘密の情報源がいたわけではないらしい。これまで他のジャーナリストや市民があまり注意を払っていなかった問題を、正攻法で調べあげたことが成果につながったという。基本に忠実であることの大切さはアスリートだけでなく、記者にもあてはまる。

6月に掲載されたゴットリーブ氏の調査記事をきっかけに、全米のメディアがいっせいに地元の公務員の給与を報道し始め、更には現職政治家に対する国民の目が一層厳しくなった。ベル市に関する一連の報道が、11月の中間選挙に少なからず影響を与えたことは間違いない。

ボクもいつか、読者のものの見方を変えてしまうくらいインパクトのある記事を書いてみたい。

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2010年12月2日

ペンは剣よりも強し

この一年間に自分が取り上げたテーマで、最も世間に影響を与えたのは、このブログにも書いた親子の心中自殺事件に間違いない。Facebookで自殺をほのめかしていた父親への接触禁止命令を求めていた母親を嘘つきだと言い、申し立てを拒否した判事に、地元のみならず、全米から非難の声があがった。結果、その判事は数ヵ月後の選挙において大差で敗北。いよいよ、今日が最後の勤務となる。

引退を間近に控えた彼にコメントをもらおうとしたが、「マスコミには話したくない」と断られてしまった。選挙前には、独占インタビューを得ることができたが、敗北がトラウマとなって、メディアに対して過剰反応を示すようになった。新聞やラジオの報道がきっかけで、人間不信に陥ってしまったようにも思う。

この事件を通じて、いかにジャーナリストとしての自分に、影響力と責任があるかを思い知った。ジャーナリストは、権力の監視役であるが、一歩間違えれば、自らが権力を濫用することもありうる。ペンは剣よりも強いからこそ、使う人には一層の謙虚さと高潔さが求められるのだ。

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2010年11月26日

アメリカのよいとこ

11月の第四木曜、つまり今日はアメリカの感謝祭。アメリカ人にとっては、親戚や家族で集まって食事会をする、大切な家族行事である。

こっちに家族がいないボクには、ちょっと寂しい日でもあるが、毎年のように友人たちが食事会に招いてくる。今年は報道部の同僚ブルックが、ボーイフレンドの実家で行われる食事会に誘ってくれた。

ブルックと彼女のボーイフレンド以外は、みんな初対面。それなのに、ボクはずかずかと家にあがりこんで、お酒や七面鳥をはじめとする感謝祭料理をたらふく食い、ソファーに座ってフットボールを観戦した。家族がみんな、違和感を感じさせることなく、ボクを受け入れてくれた。日本では考えにくい光景である。


家族のもとに帰れないともだちを、自分の家族の食事会に招待する心の温かさと、遠慮のない人間関係。少なくともボクにとっては、アメリカという国の魅力である。

明日は、朝三時からブラックフライデーの取材。凍えるような寒さに負けず、テントをはって特価商品を狙う人々に、突撃インタビューをする。

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2010年11月25日

どうしても目がいってしまう

NHKのニュースフィードを読んでると、どうしても裁判関係の記事に目がいってしまう。司法担当になるまでは、こんなこと絶対にありえなかった。以前なら、人の不幸をこと細かく知って、何が面白いんだと言ってたに違いない。

裁判員制度が導入されてから、裁判関連の記事が多くなったように感じるのは気のせいだろうか。

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2010年11月21日

報道の自由とプライバシー

17歳の教え子と性的関係を持ったと疑われる、高校教師の裁判を追っている。

そうでなくとも未成年者への性犯罪には厳しいアメリカ。教師である被告人への風当たりは厳しい。「魔女の条件」がアメリカで放映されたら、大衆にどう受け止められるのか気になる。

カリフォルニア州では、裁判長の許可さえとれば、公判の様子をカメラやビデオで撮影して報道することができる。有名なO.J. シンプソン裁判は、全米中継されて高視聴率を記録した。

うちの新聞も大きな事件になると、写真やビデオを載せる。日本では被告人の人権や被害者のプライバシーを考慮して、法廷内の撮影は許可されないが、アメリカでは国民に開かれた裁判を行うため、報道の自由が認められている。

今回の事件では、被告人が一度は有罪を認めたが、刑宣告が行われる直前にそれを撤回しようとする動きに出た。顔写真が公開されてしまえば、彼はずっと性犯罪者として見られることになる。特にビクタービルは小さな町。まだ有罪の確定していない市民の写真を載せることに、正直迷いがあった。

ジャーナリストの役割というものを、日々考えさせられる。




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2010年11月16日

タダで手に入る最高の英語学習教材

よく英語の学習にお勧めの教材は何かと聞かれる。

インターネットに情報がありふれている時代。日本にいても、無料で質の高い英語に触れられるようになった。特にアメリカのメディアは、日本に比べると、寛容に情報を配信しているので、ありがたいことこの上ない。

CNNニューヨークタイムズウォール・ストリート・ジャーナルのような大手メディアは、英語上級者の間で好まれているようだが、NPRという存在を知っている日本人は意外と少ない。

NPRとは、全米公共ラジオ局のことで、アメリカの知識層から絶大な支持を得ている。Fox Newsをはじめとするケーブルニュース局が、センセーショナルな報道に傾倒する一方、NPRは問題の本質を理解することに重点を置いた、civil discourse(知的な対話)と呼ばれるジャーナリズムを追求している。

かといって小難しいテーマばかりを扱うわけではなく、政治、経済、ビジネス、スポーツや音楽、芸能など、幅広い時事ネタを、分かりやすく説明してくれる。ポッドキャストやホームページが充実していて、ほとんどの番組を好きな時に聴くことができる。世界やアメリカで話題のトピックを、日本のメディアとは違った視点で学べるのも醍醐味。

ネイティブ向けなので、話すスピードは速いが、iPodやiPhoneならポッドキャストを0.5倍速で再生できる。ホームページに行けば、番組の要約記事や原稿も手に入る。iPhoneやiPad用アプリの出来が秀逸なので、試してもらいたい。

NPR News - NPR
NPR News for iPhone

ボクは、ちょっと遠出をする時に、iPhoneにダウンロードしたTalk of the Nationという報道番組を2倍速で流し、情報収集や記事のネタ探しに使っている。

留学やビジネスで外国人と親しくなるには、言語だけでなく、相手の文化や社会情勢、流行なども理解する必要がある。その点で、NPRは最高の学習教材だと思う。

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2010年11月10日

イラクへ向かう予備兵

地元のアメリカ陸軍予備兵団が、イラクへ配置されるに当たって、送別式が行われた。予備兵たちは、普段は民間人として仕事や学業を営むかたわら、週末になると訓練に参加し、戦争時の招集に備える。

軍事大国のアメリカでは、軍に関する報道が毎日のように流れるが、ボクにとってはこれが初の軍事関連の取材となった。

幼い頃から、日本の学校で平和教育を受けたり、祖父母から戦争体験を聞いたりしてきたことで、軍隊に対してはいいイメージを持っていない。若い兵士の多くが、貧困層からきていることも、アメリカ社会の格差を生々しく反映している。

それでも一人一人の兵士と話すことで、これまで軍人や戦争に対して抱いてきたステレオタイプや偏見から、わずかながら解放された気がする。個々の生い立ちや、未知の戦地に赴く恐怖を聞いていると、遠くのことだと感じていた中東での戦争が、現実味を帯びてくる。

高校を卒業したばかりの元気な19歳の女性兵が、戦地に行くことを次のように例えた。「ジェットコースターに乗る前のような気持ちなの。怖いけど、 乗ったらきっと良かったって思うはず」





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2010年11月8日

念願のiPad

発売前にあれだけ賞賛しておきながら、購入を控えていたiPad (記者の給料というのはみじめなものなのです)。新型が出たら買おうと決めていたのに、昨日、友だちと待ち合わせたアップルストアで衝動買い。

朝の5時までセットアップしていた (夏時間が終わったので、実質的には6時まで!)。起きてからは、すぐにベストバイ (アメリカの大手電化製品店)で、革製のスタンドにもなるケースを買った。

まだ数時間しか使っていないというのに、もはや手放せなくなっている。使っていてこれだけワクワクする製品は、iPhoneそしてPower Book以来である (まずい、ジョブズに完全に虜にされている)。



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2010年11月6日

職業病?


ジムで出会った失業中の男性に、急きょインタビュー。ノートを持ってなかったので、ペーパーナプキンで代用。

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2010年8月9日

まるでCSI

怒涛の一週間が過ぎた。ほぼ毎日、数時間の審理に立ち会い、残業で記事を書いていた。

月曜日は、水道管の破裂で裁判所が閉鎖。ほとんどの案件が、翌日に持ち越されたため、火曜日は普段の二倍近くの人が、狭い建物に詰めかけた。

月曜日に、裁判所の前で待たされる市民

月曜日の夜は、最近勢力を強めている、ティーパーティー運動(「大きな政府」に反対する保守派運動)のデモに行って、参加者に話を聞いた。その後には、薬物を使用しないナチュラル・ボディビルのパイオニア的存在のトレーナーを取材。インタビュー後には、自ら1時間ほどトレーニングを体験した。

ティーパーティー運動のデモ参加者。合衆国憲法に立ち戻ってのアメリカ再建を訴える。アリゾナ州の不法移民取締法を支持している。
ナチュラル・ボディビルの権威、ジャック・オブレネス氏。日本人ボディービルダーを指導したこともあるらしい。


水曜日は、浮浪者を乗せてしまった気のいいおばちゃんがハイジャックされるという、気の毒な事件の審理を取材。小児麻痺を患い、しかも酸素ボンベをつけているおばちゃんは、スーパーの駐車場で彼にお金を恵んだ上、ホームレスシェルターに連れ行くことを快諾。

シェルターが見つからなくて、パニックになった20歳の浮浪者は、巨大なナイフを取り出し、おばちゃんを脅し始める。しばらくおばちゃんを助手席に乗せて運転した後、現金と身分証明書を奪い取って、おばちゃんをショッピングセンターの駐車場に置き去りにして逃走。有罪が確定すれば、懲役7年から終身禁固の不定期刑となる可能性がある。

自ら証言台に立ったおばちゃんは、弁護士のしつこい質問ぜめに最後は涙を流していた。それでも尋問後のインタビューで、「彼は社会できっと辛い目に会ったんだと思うわ。きっと暴力でしか自分の主張を伝える方法を知らないんでしょうね」と被告人に同情を見せていた。



木曜日は、21年前に起きた殺人事件の審理。コールドケースと呼ばれる、未解決事件の容疑者が、昨年逮捕された。被告人は75歳の著名弁護士。事件当時から疑いをかけられていたものの、証拠不足で逮捕に至らなかった。それがコールドケース班の捜査再開によって、事件現場近くで押収されていた医療用手袋から、被告人のDNAが検出されたのである。

1989年に、被害者女性とそのボーイフレンド、娘二人が家に帰ってきて、車から降りた瞬間、暗闇に隠れていた犯人が女性を射殺。ボーイフレンドも撃たれて重傷を負った。コスチューム用の髭をつけた犯人は、少女たちに向かって、「ハーイ」と声をかけたという。

被告人の男性は、当時、被害者女性の母親と付き合っていた。その母親は、実の娘と孫娘の養育権を争っていたが(母親の証言によると、被害者は麻薬の取引に関わっていたという)、被告人が当時5歳と11歳の女の子たちに性的虐待をしていたとの疑いをかけられ、関係は複雑であった。被告人は性的虐待については一切否定し、5歳の女の子をまるで自分の娘のように愛していると述べている。

検察側は、被告人が、被害者の娘の養育権をガールフレンドに与えようとして、殺人に及んだと主張している。



金曜日は、元海兵隊員の新築祝いパーティーに乗り込んで、ナイフで重症を負わせたギャングの刑罰宣告があった。被害者の友人たちが。家の前でバイクに乗っているのに腹を立てた犯人たちが、突然、襲い掛かったという。被害者は、腕と太ももに深い傷を負い、肺が破裂し、更には頭にナイフが刺さった状態になったが、九死に一生を得た。

しかし、その6ヶ月後に、仕事に復帰した25歳の被害者は、ケーブルテレビの取付けに行った家で、ハンマーを持った男性に頭をめった打ちされ、その場で死亡した。被告人は妹と口論になって激昂し、何の面識もない元海兵隊員を後ろから襲ったという。

全く関係のない二つの事件だが、両被告人とも以前に人を殺し、有罪となっている。ナイフで襲った犯人は、6度も刑務所に送られては出所している。また、殺人容疑に問われている後者は、女性をレイプしている最中に殺してしまい、22年の刑を宣告された。その後、刑務所での模範的態度によって、半分の刑期で出所した矢先のことだった。

被害者は三度、イラク戦争に従軍し、前線で戦った後に帰ってきた地元のヒーロー。金曜日には、皮肉にも殺人事件の公判が重なり、裁判所に来ていた被害者の家族や友人は、二つの事件に向き合わなければならなかった。

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2010年6月25日

私が払います

「ペイ・フォワード」という映画がある。

主人公の少年が学校の授業で、「世界を変えるために何ができるか」という課題を出され、あるアイデアを思いつく。それは自分が受けた親切や優しさを、その相手にではなく、別の三人の誰かに返して善意の輪を広げていくというもの。「ペイ・バック」ではなく、「ペイ・フォワード」である。

この間、オフィスの近くにあるサブウェイに昼食を買いに行き、注文の途中で財布を忘れてきたことに気づいた。「オフィスに財布を取りに帰るから、サンドイッチをとっておいてくれませんか」と店員さんに頼んだところ、ちょうどレジで会計を終えた30代くらいの女性が、「彼の分も私が払うわ」と言い出した。

驚いたボクは、「オフィスがすぐ近くだから、いいですよ」と遠慮したが、彼女はカードを取り出してさっと支払いを済ませてしまった。ボクが熱心に感謝を述べると、その女性は、「いいのよ、他の誰かに渡してあげて(pass it on)」と言い、早足で出口に向かった。何とか彼女の名前がキャシーであるということは聞き出すことができた。

報道部に移ってからというもの、やれ何が欲しいとか、誰々のせいで生活が苦しいなどといった不満ばかりを耳にする。そんな毎日に正直うんざりしかけていただけに、今回のことは新鮮な体験だった。見返りを求めない親切心からは、もらったもの以上の幸せを感じることができる。

ペイ・フォワードは善意を渡す相手が、それを更に広めてくれるという信頼のもとに成り立つ。連鎖を断ち切らないためにも、キャシーの笑顔を忘れてはいけない。

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2010年6月10日

13歳でエベレストに登った少年

選挙から一夜明け、今日は朝からビッグベア湖に向かった。五月に、史上最年少でエベレスト登頂に成功した、ジョーダン・ロメロ君(13)の帰省祝賀会の取材である。

ビッグベア湖は、ロサンゼルスのダウンタウンから、車で東に2時間ほど走ったところにあるリゾート地。海抜2100メートルに位置するため、高地トレーニングを行うアスリートも多い。


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まずは、ジョーダン君の通う地元の中学校でのサプライズ集会へ。現れたのは、帽子をエロかぶりした、一見どこにでもいそうな中学生。しかし、有名になった同級生を前にして、悲鳴をあげ失神寸前の女の子も。登山のスライドショーを見た後、短い質問タイムもあったが、さすがは中学生、馬鹿らしい質問が飛び交った。



場所を移して、スキー場の頂上にあるロッジで記者会見が行われた。夏にリフトに乗って眺めるビッグベア湖も悪くない。会見前には、エベレスト登頂にちなんで、ネパール料理が振舞われた。


ジョーダン君は、小学校の廊下にあった七大大陸最高峰の絵を見て、その全てを登ってみたいと父親に話したのをきっかけに登山を始めた。冒険家である父親のポール・ロメロ氏は、9歳の息子が一週間かけてそれぞれの山について調べあげたのに感心し、「じゃあ家に帰って始めるか」とだけ言ったという。

それからわずか四年間で、キリマンジェロに始まり、6大陸の最高峰を制した。今年の12月には南極のヴィンソン・マシフに挑戦して、七大大陸制覇の夢を実現する予定だという。



まだ13歳の子供に無茶をさせすぎだという批判もあるが、ポールさんは「13という数字にほとんど意味はない。ジョーダンの肉体は、ボクの知っているほとんどの大人の登山家よりも、ずっと優れている」と反論した。

実際にジョーダン君は、エベレスト登頂に向け、中学校を休学して肉体改造と高地トレーニングに励んだ。ポールさんと彼のガールフレンドは、エベレスト登頂成功の一年前に現地に下調べに訪れて、綿密な計画を練ったという。また、ポールさんの話では、ジョーダン君はビデオゲームや炭酸飲料、ファーストフードには手をつけたことがないらしい。

ジョーダン君は、将来はアクションスポーツに挑戦するんじゃないかとポールさんは言っていたが、こんなに若くして夢を実現してしまった13歳の少年は、この次どんな目標を抱くのであろうか。

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2010年6月9日

民主主義とジャーナリズム

火曜日に州の予備選挙が行われ、司法関連ということで、ボクはサンバーナディーノ郡の地方検事と裁判官選挙を担当した。

普段は注目を浴びることのない裁判官選挙だが、今回は、不適切な発言で波紋を呼んだロバート・リムコー裁判官が、再選を狙うということで、大きな波紋を呼んだ。対抗馬のジェームズ・ホスキング検察官は、巧みにこの悲劇を利用し、メディアに積極的に露出して知名度を上げた。それに対してリムコーは、事件をすっぱ抜いたうちの新聞に対して不信感を募らせていたため、独占インタビューをとるのにボクもかなり奔走する羽目となった。

新聞には締め切りがあるため、早い時間の開票速報をもとに記事を書かざるをえない。午後10時半の時点では、ホスキングが大きくリード。思っていた以上に人々の怒りは大きかったようだ。

初めて選挙を取材して感じたことを二つ。

1)人々はギャング、汚職や犯罪者に対して最も嫌悪感を示す
地方検事選では、現職のマイケル・ラモスが大きくリード。サンバーナディー郡で起きた、カリフォルニア史上最悪と言われる汚職事件を公訴したことは、ラモスにとって追い風になった。彼は選挙キャンペーンで、ギャングの取り締まり、汚職の追及と被害者権利の保護を強く打ち出していた。インターネット記事の読者コメント欄では、ギャングや政治家、犯罪者(もしくはそうだと疑われている者)に対して容赦ない罵声が浴びせられる。

2)民主主義は恐ろしい
何も民主主義に反対という訳ではない。しかし、選挙結果を見ていて、人々が価値観や論理ではなく、一時の感情や目先の利益にとらわれて投票していると、改めて思った。

不況の原因を政治家や投資銀行家に押し付け、メディアのセンセーショナルな報道に惑わされて、とにかく現職を引きずりおろすことに血眼になる。公立学校に問題があると訴える一方、増税には何が何でも反対。父親が息子と心中自殺したのを、一人の裁判官のせいにして、家庭裁判所の崩壊には目を向けずに、彼をひきずりおろすことで解決しようとする。

民主主義が機能するか否かは、選挙人が適切な判断を下す知識や能力があるかにかかっている。人々がブログや偏ったソースから情報を得る今の時代にこそ、優れた報道が必要とされる。ジャーナリズムと民主主義は切っても切れない存在なのだ。

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2010年5月17日

結婚は醜い?

家庭裁判所では人間の最も醜い部分を目にする羽目になる。
刑事裁判というと、殺人やら強盗やら物騒なイメージがあるが、裁判自体は厳粛な雰囲気の中、淡々と証人の尋問や検察と弁護人のやりとり等が行われる。

しかし家庭裁判所はそうはいかない。法廷内に一歩踏み入れると、そこはまるで紛争地域である。離婚率50パーセントの米国では、離婚調停や子供の養育権争いが絶えない。

聴聞が始まるやいなや、判事の前で弁護士同士が怒鳴り合いを繰り広げる。やれ父親が息子のサッカーの試合に遅れただの、母親は男にだらしないなどと、とりあえず思いつかんばかりの悪口を並べる。後ろに座って聞いているだけで、胸くそが悪くなる。ある弁護士いわく、「家庭裁判所は嘘のつき合い」だそうだ。

離婚だけならまだしも、そこに財産や子供の問題、家庭内暴力などが絡んでくると、争いは更にヒートアップする。どっちが正しいことを言っているかを判断するのはあまりに困難なので、記者としても家庭裁判所は基本的にノータッチ。

しかし、ある家庭裁判所に関する事件を取り上げたのをきっかけに、自分たちの裁判もとりあげてくれという問い合わせがひっきりなしにやってくる。当初は黙って話を聞いていたが、そのほとんどが不満や文句ををぶつけてくるだけなので、さすがに嫌気がさしてきた。新聞は夫婦げんかにかまっているほど暇ではない。

数年前には、生涯連れ添うことを誓い合ったはずの二人が、法廷という公の場で相手をおとしめ合う光景は見るに絶えない。日々それを目の当たりにしていると、自分の結婚に関しても慎重になってしまう。

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2010年5月16日

日本語を使いたくなったので

報道に移って3ヶ月。裁判所での取材にも慣れてきて、気持ちに余裕ができてた。休日も仕事の心配ばかりしていた頃が遠い昔のことのようだ。

毎朝、裁判所に顔を出して審理を取材。ビクタービルの急激な人口増加に裁判所の大きさが追いつかないため、朝の混み具合はまるで動物園である。

職員とはほぼ顔見知りになり、日々の積み重ねがようやく実を結んだのか、検察官や弁護士たちもようやく口を開いてくれるようになってきた。相手の信頼を裏切らないため、事実確認には特に気を遣ってきたつもり。

ビクタービルのような小さなコミュニティでは、同世代でつるめる仲間を見つけるのは難しい。その点、弁護士たちは話の合う貴重な存在。優秀で理想に燃えている人との出会いはやはり刺激になる。

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2010年3月29日

読者の反応

報道で記事を書くようになってから、毎日のように読者から電話やメールが来る(アメリカの新聞では署名付きの記事が当たり前で、ボクのように連絡先を載せている記者も多い)。

スポーツの時も一週間に数回程、読者から記事への反応があったが、その多くが苦情や自分のチームを取材しろという内容だった。

それが今では記事を書くたびに、少なくとも数件の反応が寄せられる。ある強盗事件の公判記事を書いた翌日には、容疑者の母親から自分の息子を犯人扱いするなという怒りの電話があった。

記事への賞賛や苦情は自分にとっての肥やしになるので嬉しいが、困るのは記事を書いたというだけで、専門家扱いされてしまうこと。担当の裁判に関してすら未だ素人なのに、たまたま書いた一般ニュース記事に関しても次々と質問される。

いくつか医療についての記事を書いたものだから、保険の適用や診察を拒否された人々から、どうすればいいのかという質問や不満が寄せられてくる。個人的には民主党の医療保険改革を支持しろと言ってやりたいのだが、そんな単純な問題でもない。

また、一ヶ月ほど前に、ボランティアに参加すれば、ディズニーランドのタダ券がもらえるというキャンペーンを取り上げたため、それについての問い合わせが未だにかかってくる。記事の中で詳細はディズニーのホームページでと明記したのに、そんなことお構いなしだ。

家庭裁判所で起きた判事の不祥事を取材した際は、裁判の結果に不満を持つ夫婦や親たちから、自分たちの問題も記事にしてくれとひっきりなしにメールや電話が来た。どちらか一方が勝てば、もう片方は必ず不満が残る家庭裁判所の訴訟を、一つ一つ記事にしている時間などない。

苦情を真正面から受け止める面の皮の厚さと、ひっきりなしに入ってくる読者からの情報をうまく選別するスキルが新聞記者には欠かせない。

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2010年3月23日

法廷内にあふれるスマートフォン

常に数十件もの案件をかかえる弁護士たち。いつ、どこで、どの裁判が行われるかを管理するのは簡単ではないはず。

さぞかし分厚い手帳を持ち歩いてスケジュール管理をしているのだろうと思い、法廷内で観察していたのだが、驚くことに紙の手帳を使っている弁護士はむしろ少数派であった。

その代わりに彼らが常に手にしているのが携帯電話。年配から若手まで、公判の合間をぬってはiPhoneやブラックベリーをいじっている。

多くのアメリカ人は、日本人ほど手帳に対してのこだわりがないため、あらゆる機能が一台でまかなえるiPhoneのようなガジェットが発売されれば、少しくらい不便な点があってもそれで済ませようとする。

日本人が重視する細かい使用感や紙質、手書きといったこだわりは、合理性を重視するアメリカ人にはなかなか理解されない。

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2010年3月19日

麻薬には手を出さないように

毎日のように殺人や強盗裁判を取材していて気づいたことがある。

こうした事件のほとんどが麻薬絡みだということ。

小学校のすぐ側で、男女二人が銃撃されて死亡するという事件があった。法廷での証言を聞いていて、二人が麻薬の売人であったことが判明。被害者と一緒に車に乗っていた友人たちが、申し上げにくそうに、麻薬の売買を目的に容疑者に接触したと説明した。

また強盗に入られた家の持ち主が、家の中で犯人と銃の撃ち合いになって、自身も負傷したものの犯人の一人を射殺して残りを追い払ったという、武勇伝のような事件があった。ところが警察の法廷での証言を聞いていたら、どうやら被害者男性は麻薬の売人とのこと。容疑者たちは麻薬を奪うのが目的だったらしい。

今日は強盗に押し入られたという家族の証言を取材。銃を持った男性二人組みが突然ドアを破って家に進入し、20代の女性は子供が目の前にいるところで頭を強打され血まみれになり、彼女のボーイフレンドは銃で腹を打たれた。離れにいた子供の祖母は、恐怖で震えながらも警察に連絡した様子を語った。でも結局は麻薬がらみで、売人だった母親の元夫がギャンググループともめていたらしい。

凶悪犯罪が急増しているビクタービルだが、ほとんどの事件はギャングや麻薬関連であるため、普通に暮らしていれば被害に遭うことはまれだ。

それにしても麻薬ディーラーというのは割に合わない商売である。常に逮捕のリスクが伴うのはもちろんのこと、下っ端なら収入は最低賃金にも満たない。それに加えて殺人での死亡率がずばぬけて高いとくれば、とてもやってられたものじゃない。

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2010年3月16日

一生を刑務所で過ごせますか

ようやく裁判所での取材にも慣れてきて、先週は初めてノルマの数だけ記事を書き上げることができた。毎日裁判所に通うことで 、少しずつ顔見知りが増え、それが徐々に緊張をといてくれた。

先週末は初めて判決に立ち会った。犯人の男性(20)は、4年前に付き合っている女性を利用して被害者男性を砂漠におびき出し、拳銃で射殺。遺体を別の場所で焼いてから埋めたとされる。犯行当時17歳だった彼は、最後まで犯行を認めなかったが、十分な証拠がそろっていたため有罪判決が下された。

陪審員が数時間ほどの審議を終え、法廷に呼び戻されるまでの数十分間、彼はじっと法廷内の椅子に座り、動かずただ前を見つめていた。陪審員たちが入ってきても、顔を向けようとはしない。覚悟を決めていたのだろう。机の下で手の汗をズボンでふき取るしぐさが印象に残った。

彼には懲役50年から終身禁固の不定期刑が言い渡されることになる。おそらく一生を刑務所で過ごすことになるであろう。

被害者家族の気持ちを考えたら当然の罰であろうが、自分には想像もつかない人生を目の前にした犯人を見ていて、何ともいえない複雑な気持ちになった。無性に「ショーシャンクの空に」が見たくなった。

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2010年3月7日

スクープとミス

怒涛の一週間が過ぎ去り、心身ボロボロになって週末を迎えた。部署が異動になっての一ヶ月はあっという間だった。まるで昨日が初日だったかのようである。

初心者スキーヤーが、エベレストのてっぺんに取り残され、訳も分からず滑降しているような気分だった。景色を眺めている余裕など全くない。

前回に書いた、接触禁止命令に関しての公判では、判事が母親をうそつき呼ばわりしたことを謝罪するという異例の事態が起きた(判事が公の場で謝ることはほとんどないらしい)。意外にも朝8時半の公判に出席していたメディアはボクだけで、スクープをとることができた。公判後には被害者の母親とその家族をオフィスに呼んで、独占インタビューを行った。

 翌朝の新聞では、ライバルのサンバーナディーノ・サン紙がうちの名前を出して記事を掲載。普段は「デイリープレス」という言葉は使わず、「ビクタービルの新聞」という表現を使うだけに、ちょっと驚いた。

でも良かったのはそこまで。突然の事態に驚いたこともあって、判事の謝罪した内容を素早くメモできず、記事には肝心の謝罪内容が数行しか入れられなかった。それを読んだ編集長のドンが激怒。そうでなくとも1日2記事というノルマを達成できない日々が続いたこともあって、「お前の記者としての器量を測り損ねた」とまで言われた。

大した面接もせずに、報道部に移したのはそっちじゃないかとも言いたかったが、ミスをしたのはこっちだし、器量に欠けているのも事実なので、批判を受け入れるしかない。

速記ができないというより、英語は文章が頭に残りづらい。日本語なら数文程度なら正確に記憶できるけど、英語だと直接引用で必要となる一言一句まで中々覚えられない。スポーツではボイスレコーダーを使って乗り切れたけど、裁判所内ではそれは禁止されている。裁判所担当になって、心配の種ではあったけど、こんな大事な場面でそれが浮き彫りになるとは。

せっかくの機会なので、ドンには自分が苦手だと思っていることを伝えた。

ボクの話を聞いたドンは、人間は決意があれば何でもできると言い、「私は日本で2年間英語を教えて、アメリカの朝日新聞で働いたこともあるけど、お前ほど英語が話せる日本人にあったことがない」と励ましてくれた。

ドンは神経質で上司としてはやりづらいこともあるが、記者としての能力やジャーナリズムへの熱意は尊敬できる(じゃなきゃそもそも異動しようとは思わない)。

最後は二人でがっちりと握手を交わした。彼の気持ちに答えられるよう、一日でも早く一人前の裁判取材ができるようなりたい。

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2010年3月3日

腕の見せどころ

記者としての器量が試される時が来た。

一ヶ月ほど前に、男性が生後9ヶ月の息子と心中自殺をするという事件が起きた。その数日前に、息子の母親が、裁判で父親に対しての接触禁止命令を求めたのだが、判事がろくに話も聞かずに拒否。母親は公判に、男性から送られてきた、犯行をほのめかすメールや携帯メッセージを持参したのだが、判事はそれを見ようともしなかった。うちの新聞が口述記録をもとに、それをすっぱ抜いたものだから、マスコミやブログで問題の判事に対して全米から批判の声が上がった。しかもその判事は、6月に再選を目指している。

明日の公判では、事件後に初めて母親が判事と対面することになる。これまで沈黙を貫き通してきた判事がどんな態度をとるのか、母親が一体どのような怒りを口にするのか、ボクは裁判担当として朝一で取材しなくてはならない。公判後はライバル紙とのインタビュー争いが待っている。忙しい一日になることは間違いない。

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2010年2月27日

裁判担当記者の辛いところ

悲しいことに、ハイデザートは殺人や強盗、ギャング関連の裁判には事欠かない。

人口の急増とともに治安も悪化し、ビクタービルの凶悪犯罪率はロサンゼルスを上回る。地元の裁判所はまるで犯罪のデパートだ。

昨日・今日は、二人組みによる酒屋への強盗未遂の裁判を取材。普通なら強盗未遂くらいでは大きな記事にはならないのだが、この事件では以前シリアの警官だったという店員がカウンターの下から拳銃を取り出し、強盗犯に発砲して追い払ったため、わざわざ裁判を傍聴しに行った。被告人の一人は腕とお尻に弾が命中して怪我を負い、腕にギプスをして出廷していた。

もう一人の被告人は、銃器を所持していなかったということで、懲役16ヶ月と比較的軽い刑が言い渡されたのだが、同時に以前起こした未成年との性行為に対しても刑が宣告されてしまった。年下の彼女と同意の上だったようだが、カリフォルニア州では18歳未満との性行為は法律で堅く禁じられている。弁護人の話では、犯人は法定強姦をとても恥じていたようだが、強盗未遂事件と同時に刑が言い渡されたため、新聞にでかでかと報じられることとなってしまった。

運悪くもボクの後ろの席に、この犯人の母親が座っていて、息子の事件を嗅ぎまわっているボクに対して何かと警戒心を示してきた。ただでさえ息子が刑務所に入るのを悲しんでいるのに、新聞に大きく名前と犯行が載るのは辛いことである。かといってボクも事実を書かないわけにはいかないので、毅然とした態度をとった。

裁判担当の仕事が、既に懲役という社会的制裁を受けている者に、更なる公開処罰を与えているのではないかと、ふと疑問に思うことがある。取材した裁判の犯人が服役を終えて出てきた時に、ボクのことをどういう目で見るのかちょっと気になる。

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2010年2月24日

もし自分が被告人だったら

母親と娘、その元ボーイフレンドが共謀して父親を殺害したとされる裁判を取材している。

事件は五年前に起こったのだが、検察官や弁護人が何度も入れ替わり、裁判が今まで長引いてきた。三人とも殺害への関与を認めたものの、父親の家庭内暴力を理由に、これまで無罪を主張していた。それがボクが偶然傍聴していた公判で、母親と娘が突然有罪を申し立てたので、こっちはびっくり。

法廷を飛び出し、編集長に電話をかけて、インターネットで速報を流した。カメラマンにも急いで法廷へ向かうように伝えた。カリフォルニア州では、判事の許可をとれば、法廷内での写真やビデオの撮影が可能なのである。

このままいけば、母親(41)は第一級殺人罪で禁固25年から終身禁固、娘(22)には第二級殺人罪で懲役15年から終身禁固の不定期刑が宣告される。

二人の選択を事前に知らされていなかった様子の元ボーイフレンド(21)は、目を真っ赤にして静かに泣いていた。彼は被害者に後ろから近づいてバットで撲殺した張本人とされている。この裁判をずっと追ってきたという被害者の友人は、公判後にボクのところに来て、彼が泣いた姿は初めて見たと驚きを口にした。

被告の娘と男性は、事件当時まだ高校生だったが、大人として裁かれてきた。17歳のときに犯した一つの過ちが、その後の人生を決めてしまう。まだ幼さの残る二人が、オレンジ色の囚人服を着て法廷内に座っている姿を目の当たりにして、自分がその立場にいたらどういう心境なのかを想像せずにはいられなかった。楽しい大学生活、目の前に無限に広がる可能性などは全て消え去ってしまう。

判事や検察官、弁護人が時に機械的に進める裁判だが、そこには死や人生といったドラマがあることをひしひしと感じた。

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2010年2月23日

アジア人はみんな同じに見える

つい二週間前までジーパンで職場に行くことすらあったのが、今や毎日スーツで出勤。10年前に購入したスーツだけではもたないので、大金を出してもう一着購入した。

記者には比較的ラフな格好をしている人が多いが、司法担当や政治担当は、周りに合わせてスーツを着ることもある。ボクもルーキーだからこそ、検察官や弁護士に、少しでもこっちがプロであるという印象を与えなくてはならない。彼らの中に混じって浮かないことが大切だ。

今朝さっそく新品のスーツ、シャツと靴で裁判所に行ったら、五、六人に弁護士と間違われてしまった。ある男性など、ボクを見るなり「ミスター・リー」と声をかけてきた。

ボクがキョトンとした表情をして見せると、ようやく勘違いだと気づいたようだ。

「以前、子供の養育権争いで世話になった弁護士に似ている。ロサンゼルスの裁判所で働いている人がビクタービルにいると思ってびっくりしたよ」と言われた。

おそらくその弁護士との共通点は、東洋人であることくらいだと思うが、彼らにはみんな同じに見えるのであろう。

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2010年2月22日

そう甘くはない

報道で働き始めて二週間。ようやく仕事の内容や裁判所の様子が分かってきたので、若干ながら取材の緊張も安らいできた。その一方で、自分に求められている仕事の重責を感じ始めるようになってきた。

自分は一般ニュースの報道については素人で、これまで裁判制度について何の興味や知識もなかったと編集長のドンに説明したからと、たかをくくっていたのが甘かった。新人だからといって、特別扱いはされない。新聞が生き残りをかけて苦闘している中、ボクに研修や猶予期間を与える時間やお金などあるはずない。経験したことが無い、大学で勉強したことがないなどという言い訳が通用するほど甘ったれた世界じゃないのだと、やっと気付いた。

単に法廷に行って、命じられた裁判を取材するのがボクの役目ではない。裁判所で目にしたことや聞いたこと、インターネットや新聞、専門誌で取り上げられた情報をもとに、自ら記事のアイデアを掘り出さなくてはならない。陪審員に召集されることがどれだけ生活の負担になるのか、不況の影響は刑事裁判や離婚裁判にどんな影響を及ぼしているのかなど、ネタとなる疑問を常に考え出していく必要がある。

裁判所では常に大事件が起こっているわけじゃない。だから待っているだけでは、ノルマである一日に二つの記事を書くことは到底無理な話。

他の記者よりずっと未熟だからこそ、早く結果を出さなくてはならない。

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2010年2月17日

アジア人でよかった、、、と久しぶりに思った

昨日は初めて特定の裁判を取材した。これまでは前任者からの引継ぎが済んでいなかったので、関係者に顔を売る程度の気持ちで裁判所に通っていた。

どんな裁判ケースを取材すればいいのか、最初は検討もつかなかったが、ようやく先が見えてきた。新聞で取り上げた強盗・殺人事件については、なるべく動向を追うようにするが、それだけでは内容に偏りがでる。コーヒーをこぼして火傷し、マクドナルドを訴えるといったような、読者の興味をそそる面白い裁判を見逃してしまうこともある。

そこで重要になるのが人脈。裁判所に常駐する検察官や公設弁護士はもちろんのこと、裁判所の目と耳ともいえる、事務官や門衛との信頼関係を築かなくてはならない。彼らとの何気ない会話からネタを得るのだ。

昨日の朝は、二つの裁判を傍聴するはずだったが、別々の部屋で行われていたため、片方は見逃してしまい、もう一方は散々待たされたあげく、弁護人が現れずに延期になるという始末。どちらの裁判も、まだ形式的な段階で、すぐに記事にする必要はないので助かったが、訴訟国家とも言われる米国の現実を垣間見ることとなった。

一度にこれだけの犯罪者を目にしたのは生まれてはじめてのこと。殺人やギャング抗争、性犯罪に麻薬など、これまで映画やテレビでしか見たことのなかった世界が、一つの建物に凝縮されているのが信じられない。まだ高校生にも見える男の子が、麻薬関連で最長4年の刑を受ける可能性があると判事に言い渡されるのを聞いた時、大学の4年間を刑務所で過ごす自分を想像して身震いした。また別の男性は、以前裁判所に出頭するのを忘れたためか、門衛に廷内で手錠をかけられて拘置所へ。人の人生を左右するような出来事が淡々と行われている光景が衝撃的だった。

見逃したケースについて一応確認するため、公設弁護士のオフィスへ行くと、ロビーには弁護士を自費では雇えない人々であふれていた。受付に記者だと伝えると、すぐに担当の弁護士を呼んでくれた。やってきたのは何とアジア人。ラオスからの移民だという。受付では何だからと、彼のオフィスに場所を移した。

ボクがアジア人だったのが嬉しかったようで、裁判についてど素人だと伝えると、初対面にも関わらず裁判制度について細かく説明してくれた上、裁判所取材のコツまで伝授してくれた。うざい記者に付きまとわれるのを嫌がり、連絡先を簡単には渡さない関係者もいる中、彼は「アジア人同士だから、何かあったらいつでも連絡して」といって、名刺に携帯番号まで書いて渡してくれた。久しぶりにアジア人でよかったと思った瞬間である。

ビクタービルの裁判所では、公設弁護士に二人、検察官に一人と、アジア人は圧倒的なマイノリティー。だからこそ仲間意識が芽生えるのかもしれない。しかも偶然にも、最も有力な判事が日系人というので、近いうちに会って親しくなれたらと思う。

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2010年2月16日

諦めちゃダメだ

報道に移ってから一週間が経った。

正直言うと、新しいことのオンパレードで、ストレスが溜まって食欲がなくなり、少し痩せた。裁判という未知の世界に放り込まれ、しかも英語。特に最初の数日間は、不思議の国のアリス状態だった。まるで、スタートラインがどこだかすら分かっていないランナーである。

毎日、1,2本の一般ニュース記事を書きながら、裁判関連の取材をしなくちゃいけないので、時間がいくらあっても足りない。残業は原則禁止なので、仕方なく家に帰って、仕事の続きや翌日の準備をする。起きている間は常に仕事のことを考えていた。

本当に自分に裁判担当など務まるのかと、何度思い悩んだことか。

しかしよく考えてみると、ボクの感じているストレスというのは、失敗することでプライドや自信が傷つけられることへの恐怖や、他人の評価を気にする自意識から来ている。周りにどう見られるかよりも、記事を書き上げる達成感や、全く新しい分野への挑戦で湧いてくるワクワク感を味わうべきだと、週末に自分に言い聞かせた。

実際、ストレスが溜まる一方、充実感も大きい一週間だった。大学でジャーナリズムを専攻したわけじゃない自分は、報道記事の書き方に関してはまるで素人。読者がどんな情報に関心があるのかという、ニュース価値の判断も慣れていない。編集長のドンが記事を校閲するのを、横に張り付いて観察する日々が続いている。自分は真っ白なキャンバスで、そこに少しずつ絵を描いている感覚に近い。

今の仕事では日本語が話せること、日本で育ったことは、何のプラスにもならない。むしろ英語が母国語でないこと、アメリカで育っていないことは大きなハンデ。しかも大学院に入るまで、記者になるなど微塵にも思ったことはない。高校野球部に、スポーツをやったことがない素人が入部したようなもの。

これまで自分は比較的楽な道を選んできた。だからこそ、自らチャンスに飛び込んだ今回は、諦めずにやり遂げたい。

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2010年2月11日

現実のHERO

初めて一人で裁判所に行った。目的は検察官へのあいさつ回り。判事や陪審員は進行中の裁判について話すことはできないので、検察官や弁護士は貴重な情報源である。

検察官という人種と話すのは、これまた初めてのことで(運よくまだ逮捕の経験はない)、キムタク主演の『HERO』くらいしかイメージにない。忙しいカタブツの集まりだと勝手に思い込んでいたため、会うまではちょっと緊張していた。

しかし裁判所の一角にある地方検事のオフィスに入ると、そこは『HERO』に出てくる東京地検とは似ても似つかない明るい部屋。受付の女性たちも公務員のはずなのに愛想がいいではないか。

昨日、裁判所の廊下で偶然会って、案内を引き受けてくれた検事補佐長のゲーリーが、笑顔で出迎えてくれた。ビクタービルの裁判所では結構な数の検察官や事務官が働いていて、全員のオフィスを回ったが、とても一度では名前と顔を覚えきれない。みんながみんな親切なので、こりゃ試されてるのかなとすら思ってしまった。地域に新聞社が一つしかなく、裁判所に常駐する記者はボク一人だというのも、理由の一つかもしれない。

編集長のドン曰く、彼らは家族のように仲間意識が強いという。確かに、こんな職場で働きたいと思うくらい和やかな雰囲気である。中にはボクと同い年くらいの美人検察官もいて、正直うらやましい。毎日、辛抱強く通い続けて、いつか彼・彼女らの信頼を勝ち取りたい。

あいさつ回りやゲーリーとの会話を通して、裁判所担当の記者に必要なのは、法律の知識よりも、裁判システムを理解することだと感じた。ほんと、勉強することだらけである。

週末は『HERO』と『Law & Order』でも見て過ごすかな。

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2010年2月10日

なんちゅー初日

報道部での初日は、複数の目覚ましのおかげで朝6時に起床。こんなに早く起きたのはいつ以来だろう、なんてことを言ったら、企業人に怒られてしまうに違いない。

一番乗りでオフィスに着いたが、報道部のドアが開いていないのでしばらく待つはめとなった。

直属の上司となる編集長のドン(いかにもボスらしい名前)が出勤してくるなり、昨晩、近くの山中で起きた、父と子の心中他殺事件を取材するぞと言われる。警察の公式発表によると、男性が共同監護権を持つ4歳の息子とともに、ガードレールに突っ込み、その後に拳銃で息子と自分を撃ったとのこと。一週間ほど前にも同じような事件があったので、真似をしたのではないかと思われる。

こっちは自分用の机さえ決まっていない状況で、はっきり言って何をしていいのかさっぱりである。一足先に報道部へ移っていたベテランのデーブがオフィスに残って電話で取材をし、ボクとドンは裁判所に行って、事件の父親が関わった裁判の書類に、使える情報がないかを調べることになった。

ドンから裁判所担当になるかもしれないと聞かされていたが、正直、自分の法律や裁判の知識は小学生並みである。記憶が定かなら、日米合わせて、裁判所というものには、一度しか行ったことがない。しかもそれは、友達が交通違反のキップを払うのに連れ添っただけ。小学生の頃くらいに、将来弁護士になりたいかもという、淡い想いを抱いたこともあったが、それはNBA選手になるという無謀な夢によってかき消された。

ドラマや映画でさえ裁判ものは小難しくて苦手だというのに、現実世界の裁判など取材できるのかという不安が大半を占める一方、これまで知らなかった世界に飛び込めるというワクワク感も少なからずある。ドン曰く、裁判所の担当は人脈が全てだというので、取材力を磨くにはもってこいという見方もできる。

裁判書類から必要な情報を書き取った後は、ドンが裁判所の中を案内してくれた。彼は以前、ロサンゼルスの大手紙で裁判所担当の記者をしていたので、裁判取材には人一倍思い入れがある。普段は口数が少ないのに、この時ばかりは熱く取材のコツについて語り始めた。有力な検事を廊下で見かけた時は、二人そろってトイレの中まで付いていき、用を足しながら会話にこぎつけ、自己紹介をした。

ようやくオフィスに戻ったと思ったら、今度はデーブとカメラマンと一緒に、裁判書類に記載されていた家族の住所にインタビューに行くことになった。胸がつぶれる思いをしている家族に話を聞かなくてはならないのが記者の辛いところだ。

記載されていた住所は、一軒は別の住人が住んでいて、もう一軒は荒廃した空家になっていた。近隣住民に聞き取り取材を行い、事件の家族についてびっくりするような情報を得ることができ、記事の内容は思わぬ方向へと向かった。

オフィスに帰って、デーブとドンと三人でミーティングを行い、話の筋を確認し合った。ボクは裁判所で得たメモを文章にして、本文を執筆するデーブに渡し、今度はインターネット検索で得た番号に片っ端から電話して、最後の事実確認。報道部での初記事が、尊敬するデーブとの連名なのは嬉しい。

始業から終業までほとんど休息なしと、初日とは思えない充実度。いっぺんに色々な情報が入ってきたので、緊張しっぱなしだったけど、これぞ取材という経験ができた。警察が公表していない話を、インターネットや公文書、インタビューで得た点の情報をつないで明らかにしていくのは、まるで探偵の仕事。

スポーツ記者とは、また違った楽しさがある。

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2010年2月9日

最終日

真夜中にスポーツ部での最後の勤務を終えた。朝8時には報道部での業務が開始である。

これでもう当分、スポーツの試合を取材することも、紙面をレイアウトすることもない。

昨日はずっとデスクワークで、仲良くなった監督たちから電話がかかってくるたびに、別れの挨拶をした。苦情を言われることもあったが、今となってはそれもいい思い出。これからは休みの日に、一人のファンとしてスポーツを観戦しに行こうと思う。

シフトが終わった後、オフィス前の駐車場で、同僚のC.J.と握手と抱擁を交わした。C.J.とは二年間、机を並べて苦労や喜びを分かち合ってきた。報道部はスポーツ部の隣の部屋にあるから、翌日も顔を合わせる。それでもボクらの間には、別れの空気が流れていた。

この二年間があったから、今がある。それを忘れずに新しい生活を楽しみたい。

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2010年2月8日

こんな風でいかが?

ありふれた見出しになってしまったけれど、とりあえず入稿。紙面をレイアウトするのは明日で最後になる。朝方に生活を変えるため、早く寝なくては。

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スーパーボウルの見出し

今日は同僚数人とスーパーボウルを自宅で観戦するため、早めに職場で仕事をしてから、長めの昼食休憩をとっている。

ハーフタイムにWhoがコンサートを行なったのだが、恐らく僕らの年代の視聴者は「あのオッサンたち誰?」と思ったに違いない。

前半は予想を裏切るロースコアな試合展開。ラスベガスで必死になっているギャンブラーの姿が想像できる。

試合後にすぐオフィスに戻って紙面をレイアウトしなくてはならないが、大きな試合で困るのは凝った見出しを考えなくてはならないこと。新聞をフレームにいれて飾る読者もいるくらいなので、普段のようにはいかない。

運悪くもこんな日に一面の担当になってしまい、頭が痛い。母国語でさえ難しいというのに、英語で洒落たニュアンスを含んだ見出しを考えるなんて。スポーツ部での最後の大仕事になりそうだ。

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2010年2月4日

待っていては職はやってこない

来週、ようやく報道部へと移ることが決まった。代わりの人材を雇うまでおよそ2ヶ月。長かった。

アメリカの企業というのは、日本と違って新卒の一斉採用がないので、ポジションに空きができたら求人広告を出す。今のような不況下では、一つの空きに対して、新卒からベテランの中高年者までが応募をしてくるので、競争は熾烈だ。

アメリカでは性別や年齢で応募者を差別することは法律で禁止されている。実際、履歴書で顔写真の添付や性別、生年月日の記入を求めてはならない。自ら空きを探し、能力や経験を積極的に売り込んで、大学を卒業したばかりの応募者もシビアに給与の交渉をしなくてはならない、まさに実力社会である。

スポーツ部が雇ったのは、バーストウという町で発行されている姉妹紙でスポーツ編集長(聞こえはいいが、他に記者はいない)を勤めていたマットと、全米でも有名なノースカロライナ大の学生新聞でスポーツ編集長をしていたという新卒のデイビッド。マットは既にうちのシステムには慣れているし、デイビッドもMLB.comでインターンをしたり、フリーで雑誌に記事を寄稿したりと、なかなか優秀なようである。

米国では、新聞やメディアにとどまらず、ほとんどの業界において、一つの会社で一生を終えるというのは、もはや昔話となっている。

新聞業界に限って言えば、ほとんどの新卒は小さな地方紙で数年ほど働いて、実践しながら基礎を学ぶ(財政的にも日本のような新卒向けの研修を行っている余裕はない)。キャリアアップを目指す記者は、そこから中規模紙、都市部の大規模紙へと移っていくことで、昇給や昇進を目指す。内部での昇格が言い渡されるのをただ待っているだけでは、取り残されてしまうのだ。ボクもジャーナリストの求人サイトを見ていて、偶然、社内での空きを見つけて応募した結果、異動が決まった。

報道部では主に土・日が休みで、朝9時から5時までという一般的なシフトになる(いわゆる9-to-5 job)。スポーツ部では平日が休みで、午後からのシフトなので、今が最後のチャンスとばかりに、近くのスキー場へと通っている。ロスから近いため、週末は峠道が渋滞になるほど混雑してしまうのだ。

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2010年2月2日

我が家にテレビがやってきた

NFLの決勝戦、スーパーボウルが日曜日に行われる。

この時期になると、試合を少しでも高画質で見ようとするファンのおかげで、高精細テレビが飛ぶように売れるという。我が家も何と、先日昇進を果たしたルームメイトがプラズマテレビを購入。

一人で住んでいた時は、一年間テレビが無い生活をしていた。そこから昨年はルームメイトの持ってきた巨大なブラウン管テレビ、そしてついにスマートなHDTVと、急速なアップグレードである。昨晩、新しいテレビでHD放送を見たときは、昭和30年代に初めてカラーテレビを見た子供のような感激を受けた。ようやく現代人の仲間入りをした気分だ。

しかし、ルームメイトは何もスーパーボウルが目的ではなく、明日の夜に最終シーズンが始まる『ロスト』を高画質で見たいという理由で衝動買いした。映画オタクの彼は、ブルーレイで映画を見るためにプレステ3もゲット。

まさにルームシェアの素晴らしさを身をもって感じる瞬間である。


テレビ一台で部屋の雰囲気が変わるから不思議なものである。左右の棚にはルームメイトのDVDコレクションが並ぶ。

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2010年1月31日

本の匂いフェチ

前回の投稿に載せた以下の動画。最後のシーンで、質問者の女性が恥ずかしそうに、学生時代に教科書の匂いを嗅ぐのが好きだったと告白している。

そんなことするのは自分くらいかと思っていただけに、衝撃を受けて、この女性に恋しそうになった。












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2010年1月30日

iPadのある生活を予想してみた

前回は、iPadが大きな画面とタッチ操作を利用して、新しいライフスタイルを提供するのではないかということを書いた。

それではタブレット型コンピューターの普及で、具体的にボクたちの生活がどのように変わるのか、ちょっと予想してみよう。

その1:ビジネス
ノートパソコンやスマートフォンの普及で、ビジネスの世界では急激にペーパーレス化が進んでいる。資料をEメールで送り、グーグルカレンダーでスケジュールを管理するのは当たり前のこと。

しかし、鞄の中から、紙の書類が一切なくなったかと聞かれれば答えはノーであろう。紙には紙の良さがあるからだ。立った状態での商談や説明にはノートパソコンは使えないし、もらった書類にちょっとしたメモを加えるには手書が楽だ。スケジュールもグーグルカレンダーに入力はしても、パッと取り出してみるにはやっぱり手帳が便利。スマートフォンも悪くないが、本格的な文書には画面が小さすぎる。

タブレットなら、一台でそうした不満を解決し、鞄の中をすっきりさせてくれる

商談の際には、座った状態だろうが立った状態だろうが、鞄の中からサッとiPadを取り出してすぐに資料を見始められる。相手もiPadを持っていれば、必要な書類をその場ですぐにメールで送信したり、専用のアプリケーションで無線経由でデータのやりとりが可能。相手の話を聞きながら、書類上に手書きでメモをとることもできる。iPadをプロジェクターにつなげるようになれば、パワーポイントを使ってプレゼンをしながら、OHPのように手書きのメモを加えられる。

iPadのスケジュール帳は、iPhoneよりも画面が大きくなったことで、予定を見渡しやすくなり、更にはiPhoneと変わらない起動の速さを実現している。手書き入力のできる日記アプリも充実してくるだろう。

通勤途中や空いた時間にネットをチェックするのはもちろんのこと、新聞、雑誌や本をiBooksで購入して読んだり、映画を見たりすることもできる(あくまで日本の出版業界が電子化に積極的であることが前提だが)。iPadが普及して困るのは、大きい鞄の売れなくなる人たちかもしれない。

その2:教育現場
ビジネスと同じ理由で、小学生たちはランドセルがいらなくなる。アメリカの大学生などは、一冊で一キロはあるであろう分厚い教科書を、何冊もリュックに背負って広いキャンパスを移動していたのが、iPad一台(というより一枚)ですんでしまう。アメリカの教科書会社は既にiBooksへの商品提供へ動き出している














教師たちは従来の文字情報に加えて、動画や音声を埋め込んだ教科書や資料を配信したり、タッチ操作を利用したインタラクティブな学習用アプリケーションを開発するようになるだろう。アメリカの大学では既にほとんどの授業資料をインターネットでダウンロードできるようになっているが、iPadはパソコンやスマートフォンに比べて閲覧性が優れているので、紙に印刷する生徒は激減するに違いない。授業中のメモはiPadに手書きでとれる。

その3:書籍
電子化によって印刷代をコストカットできるため、本が安く買えるようになるのはKindleで証明済み。著作権の切れた古典はほぼ無料でダウンロードできる。

駆け出し作家の立場から見れば、出版社を通さないでiBooksで自由に本を販売できるようになれば、安く(もしくは無料で)本を配布して多くの人に作品を読んでもらえる。誰でも本を出版できる時代になるということだ。作家は出版コストの削減で、これまで以上の比率で印税が得られるかもしれない。

その4:新聞・雑誌
以前も書いたが、iPadは出版業界だけでなく、ジャーナリズムの危機をも救ってくれるのではないかと期待している。

iPadなら、各メディア会社が自社製アプリケーションを開発して、インターネットと紙メディアの両方の良さを組み合わせたニュース提供が可能である。課金や広告のオプションも広がる。

iPadの普及で、マルチメディアを駆使した情報がいつどこでも入ってくる生活が実現すれば、新聞、雑誌、本、テレビ、ラジオといった分類自体が時代遅れと言われるようになるのかもしれない。

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2010年1月29日

iPadついに発表!

予想通りアップルからタブレット型コンピューターが発表された。名称はiPad(何やら富士通との間に商標問題が起こりそうだが)。プレゼンテーションが終わった1時間後のグーグルトレンドでは、人気トピックの1位から6位までをApple関連のキーワードが独占していた。

Photo: Courtesy of Apple

期待はしていたので、速報を見て驚きはしなかった。しかし、紹介ビデオとスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションを見ているうちに、やはり物欲を刺激された。一番安いモデルで499ドルというiPadは、米国では3月の終わりに発売となる(海外ではどうやら遅れそうだという情報もある)。

デザインやインターフェースの美しさはさすがはアップルといったところだが、単にiPodTouchを大きくしただけじゃないかという指摘もある。確かにiPadのOSは、iPhoneのOSをベースに作られている。

しかしiPadの存在価値はまさにそのディスプレイの大きさにある。このデバイスはタッチスクリーンでの操作を最大限に引き出す目的で作られたのだ。iPhoneでも指先を使った操作はできるが、電話という機能上、どうしてもサイズに制限が加わる。指先を使った操作は快適だが、iPhoneの小さいスクリーンでは、インターネットを閲覧したり、電子書籍を読んだりするのは疲れる。

iPadでは大きさという制限が取り払われ、タッチ操作をフルに生かすことができる。過去20年間で、コンピューターはマウスとキーボードを使って操作するという固定観念が定着してしまったが、iPadはそれを打ち破るものになりそうだ。

これまでにもタッチスクリーンを使ったタブレット型パソコンは存在したが、タッチ操作を生かすソフトが存在しなかった。アップルはハードとソフトを両方開発できる強みを生かして、iPadと一緒にいくつかの専用アプリケーションを開発した。そして何よりiPhoneを通じて成長したApp Storeという基盤は大きい。サードパーティーによるアプリケーション開発はiPadの可能性を無限に広げてくれる。

ニューヨークタイムズ紙がプレゼンテーションに登場し、独自のアプリケーションを紹介した。まるで新聞を読む感覚で、インターネットのニュースがチェックできるようになっている。タブレット型コンピュータの普及が進めば、これまで以上にテレビ、新聞、ラジオというメディアの垣根がなくなり、メディアのあり方も変わってくるに違いない。

果たしてiPodとiTunes Storeが組み合わさって音楽業界が変わったように、iPadと同時に発表されたiBooksというビジネスモデルが出版業界を変えるのであろうか。これからの動向に注目したい。

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2010年1月27日

ジョブズとオバマの豪華ラインナップ

アップル主催のスペシャルイベントがあと数時間ほどで始まる。

以前このブログにも書いたタブレット型デバイスの発表が予想され、関係者やマスコミをにぎわせている。果たして出版業界にとって運命の一日となるのか。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションには刺激を受けっぱなしだが、職業柄、今回はこれまで以上に楽しみだ。

アップルの新製品と一緒に明日の見出しを飾るであろうニュースが、オバマ大統領にとって初となる一般教書演説。大手ネットワークが全米に生中継するこのスピーチでは、大統領が議会の前で国の現状と主要課題について見解を述べる。

大きな期待を背負って一年前に就任したオバマ大統領だが、ここにきて国民の支持率に陰りが見え始めている。

景気刺激策として7870億ドルをつぎこんだが、失業率は10パーセントにまで上がってしまい、一般市民は景気回復の実感を得られずにいる。大規模な医療保険制度改革は、民主党と共和党の対立で思うように進まない。

加えて環境問題やアフガニスタンへの軍人の増員など、いっぺんに色々な問題に手をつけて、全てが中途半端だとの印象が国民の不満を高めている。保守陣営に歩み寄ろうとする姿勢が裏目に出たとも批判されている。

今夜の一般教書演説は、今国民が最も望んでいる景気回復に焦点を当てた内容になると思われる。ジョブズにとっては華やかしい一日だが、オバマ大統領には荷の重い一日となりそうだ。

ところで、今年の一般教書演説は2月2日に延期されるとの情報が流れたが、その日は人気テレビ番組「ロスト」の最終シーズンの第一エピソードが放送されるため、インターネット上でファンが憤慨。ホワイトハウスはそれを受けて、大統領が「ロスト」の放送中に演説することはないと、記者会見で保証することとなった。

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2010年1月26日

In-N-Outなくしてカリフォルニアは語れない

今やカリフォルニア名物ともなったIn-N-Out Burger(インネンアウト・バーガー)。



1948年創業のこのチェーンは、ハンバーガー、フライドポテト(英語ではFrench Fries)、シェイクだけというシンプルなメニューながら、味とサービスに徹底してこだわり、一般人から有名人まで幅広い層にカルト的人気を誇る

現在240ほどあるという店舗は、フランチャイズ化せずに全て直営することで品質を保っている。ハンバーガーの作り置きや冷凍保存は一切せず、お客の注文を受けてから作られる。店には冷凍庫や電子レンジは置いていない。実際、ジャガイモからフライドポテトが作られる様子を、店内で何度か目にしたことがある。

それでいて、値段はハンバーガーとポテト、ドリンクを頼んでも500円程度(単品のみでセット価格はない)。

ファーストフードのようでありながら、ファーストフードの常識を覆している店なのだ。

ボクも数年前に初めて食べた時、ちょっとした衝撃を受けた。他のファーストフード店に比べて重すぎず、しかも飽きない味。カラッと揚げられているポテトも癖になる。味にうるさい日本人を連れて行っても、大抵気に入ってもらえる。



会社の方針で難しいかもしれないが、もしIn-N-Outが東京にオープンするようなことになれば、クリスピークリームとは比べ物にならないくらいのブームになるだろう。

西海岸に来る機会がある人は(カリフォルニア州だけでなく、ネバダ州、アリゾナ州、ユタ州にも店舗を展開している)、下のような看板を見かけたら、立ち寄ってみてほしい。



オマケ:実はIn-N-Outには、メニューには表示されていない商品もある。パティとチーズが三枚、もしくは四枚重ねになっている3x3と4x4(スリー・バイ・スリーとフォー・バイ・フォー)や、マスタードをパティと一緒に炒めたアニマルスタイルなど。

ボクのお気に入りは4x4。

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2010年1月24日

インターネットで快適に文章を読む方法

オンラインで文章を読むのに(名づけて「オン読」)お勧めのサイトを紹介しよう。

USA TodayやNew York Timesなどの英語サイトでは惜しみなく記事の全文が公開されているが、広告やリンクなど不要な情報も目に入ってきて、本文に集中しづらい。

だがReadabilityを使えば、本文だけが読みやすく表示される。なんともシンプルな機能だが、英語学習に役立つこと間違いなし。もちろん日本語のサイトでも使える。


こんなサイトが、、、



こんなにシンプルに!

設定は簡単。ホームページに行き、下記のアイコンを右クリックして、「お気に入り(ブックマーク)に登録」を選ぶ。ツールバーに加えておくと便利だ。



あとは読みたい記事を開いた状態で、登録したリンクをクリックすればよい。

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2010年1月21日

砂漠の雨季

今週に入って既に3つの嵐が南カリフォルニアを直撃し、交通や住民の生活を麻痺させている。



地中海性気候のロサンゼルスでは、夏に雨が全く降らない分、冬に雨季がやってくるが、これだけ集中的に降るのは珍しい。昨日はめったに発生しない竜巻の警報さえ出た。

ビクタービルでも、数日前から雨と雪が降ったりやんだりを繰り返している。今週一週間で、一年の平均降水量の3分の2が降るという予測が報じられた。

この砂漠地域は、雨や雪に備えたインフラが全く整っていないため、ちょっとした天候の乱れでも混乱が起こってしまう。近くの湖のダムが決壊したり、洪水になったりと記者は大忙しである。

近くのゴルフ場。普段は枯渇している排水路が氾濫状態。




夕方に振り出した雪の影響で15号線が通行止めになってしまったため、ロサンゼルスから通勤している同僚たちの中には、会社やホテルに泊まることになった者も。

不謹慎なボクは、明日からの休みを利用して、パウダースノーでスキーができるのが楽しみでしょうがない。

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2010年1月20日

iPhoneで付箋を活用

タスク管理にPocket Informantを使っていると紹介したが、ちょっとした用事には起動や入力が面倒だと感じることもある。

これまではポストイットになぐり書きして、パソコンのモニターなどの見やすい場所に貼っておき、作業が終わったら捨てていた。

それをiPhoneで実現できるアプリケーションがStick It。好みのバックグラウンドを選んで、ただ付箋を貼り付けていくというシンプルさがいい。起動が素早く、Add Quick Notesをクリックすれば、すぐに入力を始められる。付箋の色や形も何種類か用意されていて、絵文字にも対応。

買い物リストや気づいたことをパッとメモして、タスクが完了したらパッと消去。単なるリストよりもやるべきことを形や空間としてイメージしやすい。付箋一覧をiPhoneの壁紙に設定することができるので、ソフトを起動しないで内容を確認できるのも魅力である。



Stick It - Sticky Notes for iPhoneiTunes StoreでStick Itを確認するには左のアイコンをクリック

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2010年1月18日

しつけをせんか、しつけを!

地元の住宅街で、三歳児がペットのピットブルに噛まれ死亡したというニュースが、うちの新聞の一面で報じられた。

最後は警官によって射殺されたというこの犬は、男の子の喉に噛みつき、飼い主の言うことを全く聞かずに消防士にも襲いかかった。

AP通信でも流れたこの話を聞いて、とても他人事とは思えなかった。

ボクの近所には犬を飼っている人が多い。あまり裕福な人は住んでおらず、ペットはあまり訓練されていない。家の前を人が横切るたびに犬が庭の中でフェンスに沿って走り、吠えまくる。ペットというよりは番犬である。

先日、運動がてら自転車で近所を散策していた時のこと。通過するマラソン選手に沿道から送られる声援のように、犬吠が聞こえてくる。ほとんどの家はフェンスがあって、犬は出られないようになっているが、運悪くある一軒のゲートが開いていた。

すると中から犬がとんでもない勢いで飛び出してきた。しかも、でかい。モハビ砂漠で目撃されるピュ-マでさえ真っ向勝負はいどまないだろう。


ピューマ。またの名をクーガー、マウンテンライオン、パンサー。


ロードバイクなので本気で漕げば振り切れたかもしれないが、運悪く上り坂。

実は小学生の頃に、犬から逃げようとして背中をかまれた苦い経験があるので、逃走行為が逆効果なのは身を持って知っている。

そこで諦めて自転車から降り、デカ犬の方に向き直って、作り笑顔で迎えた。日本では犬を飼っていたので、どう扱えばいいのかある程度は分かっているつもり。

まずは自分の匂いをかがせて、敵対心を取り除く。相手が手を舐めてきたのでボクもなでてやった。見た目によらずいいやつ。まるで絡んできた不良と仲良くなったお調子者のように手を振って別れの挨拶をし、恐る恐るその場を去った。

この間も、女子中学生が下校中にピットブルと格闘して怪我を負ったという事件があった。そうでなくても歩行者や自転車への配慮が欠けるビクタービル。住宅街を安全に散歩もできないようじゃ困ったものだ。

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2010年1月15日

スキーよ、かつての栄光いまいずこ

山道に耐え切れなくなった愛車が悲鳴をあげて、エンジン警告灯が点灯したものの、家からおよそ50分で何とか目的のマウンテンハイ・スキーリゾート(Mountain High Ski Resort)へ到着。

実に大学以来、7,8年ぶりのスキーである。

スキー場はロサンゼルス郊外から近いこともあって、平日なのにそれなりに混雑していた。若いスノーボーダーばかりで、スキーヤーは完全にマイノリティー。おそらく全体の5パーセントに満たなかったのでは?

スノーボーダーの男の子たちとリフトに乗り合わせたが、話が全く合わない。彼らの会話の半分がdudeとfxxcking awesomeで占められていた。「やばくねー」を連発する日本人といい、若者の語彙力が乏しいのは世界共通。しまいにはリフトからペットボトルを投げ捨てるという暴挙に出たため、さすがに堪忍袋の緒が切れた。

ゲレンデのあちこちには、パイプだかタバコだか知らないが、ガラクタのようなものがところどころ散らばっていて滑りにくいったらありゃしない。優雅で紳士な中年スキーヤーたちも、スキーの衰退を嘆いていることだろう。

ちなみにボクは久しぶりのスキー場の雰囲気に浮かれ、5時間滑り続けてリフトポイントを使い切った。周りのボーダーたちからは、「あいつ若いのにスキーなんかやって、しかも一人かよ。これだからオタクは」などと思われていたに違いない。





裾野に広がるのは、ボクの住むモハビ砂漠。


アメリカはスキー場でもやっぱりハンバーガー。



スキーにハンドルをつけたTrikkeという乗り物。マウンテンハイは、南カリフォルニアで2番目にTrikkeの使用を許可したスキー場。



結局日が暮れるまで滑った


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いざスキー場へ

これから近くの山へスキーに。写真はアパートから見えるスキー場。砂漠とのギャップがカリフォルニアらしい。


訂正:どうやら写真の雪山はスキー場とは関係ないらしい。

- Posted using BlogPress from my iPhone

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2010年1月14日

アメリカにも存在する下積み時代

報道部への異動が決まってから一ヶ月近くが経つが、未だスポーツ部にとどまったままである。

ようやく新しいスポーツ編集長が決まったものの、後任のスポーツ記者を二人雇わなくてはならず、とても抜けられる状態ではない。しかも紙面レイアウトができる人材は限られているため、毎日デスクワークに追われている。一日も早く後任が決まってほしい。

薄給にも関わらず、スポーツ記者のポジションに対して全米から数十の応募があった。中には日刊紙でスポーツ編集長をしていたような人も応募していて、新聞不況の現実が伺い知れる。大学新聞で熱心に活動していた新卒(recent graduates)も多く、彼らはジャーナリズムに情熱を持ち、目標も高い。学生新聞は金銭問題を気にせず、ジャーナリズムの理想を追求できる素晴らしい環境である。

しかし、現実はそう甘くない。新卒記者が働き始めるうちのような小さい地方紙では、大学新聞で扱うような大きな スポーツイベントばかりを取材する余裕はない。プロや大学スポーツの取材というのは実は楽なもので、冷暖房の効いた記者席でのほほんと試合を見ながら、 チーム側から提供される詳細なデータを元に記事を書くことができる。そんな待遇に慣れてしまった新卒記者が、観客などほとんどいない高校サッカーの取材に行かされて、ギャップに苦しむということはよくあること(アメリカでのサッカーの注目度は低い)。

実力主義のアメリカと言えど、下積みは求められる。華やかなメジャーリーグやNBAとは程遠い地味なスポーツイベントを情熱を持って取材できるか。ベテラン記者が嫌がるようなデスクワークを進んでこなせるか。そこでの姿勢で真の情熱が確かめられる。

アメリカのある実業家が、本当に好きな仕事であれば、新米に任せるような雑用でも楽しんでやれるのだと著書で述べていた。メジャーリーグだろうが、リトル リーグだろうが、スポーツはドラマにあふれている。無名のアスリートたちから、共通項や特異性を導き出すところに、スポーツジャーナリズムの魅力があるのだと思う。

若くて野心のある同僚が入ってくるのが、今から楽しみでしょうがない。

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2010年1月12日

LAで人気のフローズンヨーグルト

ロサンゼルスを中心に、二年ほど前から、(Uggのブーツを履いているような)若い女性の間でフローズンヨーグルトがブームになっている(既に沈静化?)。

酸っぱさのある低脂肪フローズンヨーグルトを自分で好きなだけカップに入れ、好みのフルーツやトッピングをのっける。これでもかというくらいにでかくて甘いアメリカのアイスクリームに比べたら、ヘルシーに映るのだろう。

韓国発と言われるこのブームで、次々に登場した店同士で熾烈な争いが繰り広げられたという。

うちの近くにも、この町には似つかわしくないnubiというおしゃれなお店があり、ボクも女子中高生や子供連れに混じって、かわいくイチゴをのせたフローズンヨーグルトを食べている。

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2010年1月11日

匿名性が映し出す日本社会の闇

前回も引用させてもらった池田信夫氏は、日本語版ウィキペディアの質が低い原因として、日本のインターネットの匿名性を挙げている。

米国ではブログに加えてFacebookやmyspaceといったSNSも実名が当たり前だが、日本のブログは匿名がほとんどである。mixiも実名を公開している人は少なく、プロフィールを見ても曖昧な記述ばかり。自身の顔写真を掲載しているユーザーは皆無に等しい。

そもそも両国では、ブログに対する意識が異なる。日本人はブログというと、日記のようなものを想像するが、アメリカのブログは情報の発信手段。学者ビジネスリーダーが、講演で話したり本に書いたりするような専門的知識や意見を無料で提供している。芸能人が何を食べた、誰と会ったというようなブログが人気の上位を占める日本とは、インターネットに流れる情報の質に大きな差がある。

表面上は親切で礼儀正しい人々が、匿名になった途端、韓国・朝鮮人に対する差別的発言を書いたり、他人を見下したような表現を使っているのを考えると、同じ日本人として恥ずかしくなる。

言わずもがな、実名を公表するには責任がともなう(だからこそ信頼も得られる)。これでもいつも新聞に署名付きで記事を書いているので、このことはよく分 かっているつもりだ。誰かが気に入らない内容を書けば、電話や手紙だけでなく、実際に合って容赦なく罵倒されるし、嘘を書けば意図的かどうかは関係なく解 雇されることもある。

そうした責任を一切追わずに、匿名という傘に隠れて悪口を言うのは、日本のムラ社会を反映しているような気がして、胸糞が悪くなる。

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2010年1月9日

日本語版ウィキペディアの問題点

今やウィキペディア(Wikipedia)はちょっとした調べものから、執筆に渡るまでなくてはならない存在である。

高校時代にパソコン用の百科事典CD-ROMを買って、その情報量に驚いたが、今やその何百倍もの情報がタダで手に入る時代になった。しかも日々その量は増えている。

人文・社会科学や自然科学といった専門知識はもちろんのこと、犯罪事件やテレビ番組の各エピソードなど最新の話題までタイムリーにアップデートされる。特に英語版は知りたいことでウィキペディアに載っていないことの方が少ないのではないかと思うくらい充実している。ボクも取材に行く前に、ウィキペディアで基礎知識を得ることが多い。

しかし、英語版と日本語版のウィキペディアを比べてみると、日本語版の質が低いことに気づかされる。項目数の違いは、英語人口と日本語人口では比べ物にならないので仕方がない。だが情報の信頼性という点でも日本語版は大きく劣っている。

評論家の池田信夫氏も述べているが、日本語版には単に英語版のダイジェストを翻訳したものも多く、オリジナルのエントリーにはソースが不明の記述や、中傷・荒らし合戦の結果、内容がほとんど削除されてしまったものが見受けられる。

試しに英語版と日本語版の両方で「日本(Japan)」についてのエントリーを比べてみたが、日本語版の方が情報量が多いのに、脚注のソース数は148対 108と英語版が上回っていた。米国では新聞や雑誌、専門家が惜しみなくインターネット上に情報を公開するが、日本では未だ匿名の情報や企業広告ばかりが蔓延しているのが一つの要因だろう。出元の分からない情報ほど怖いものはない。

英語版も問題がないとは言わないが、議論の盛んな特定の分野を除いて、情報の信憑性は百科事典とあまり変わらないというのが、共通認識となってきている。ちなみに、ウィキペディアの信憑性についてのエントリーもある。

明らかな誤訳も多く、ボクも最近ではブログに日本語版エントリーへのリンクを貼るのをやめた。

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パンダエクスプレス ~米国と橋本をつなぐ架け橋~



アメリカで中華料理といえば、真っ先に思い浮かぶのはパンダエクスプレス(名前がサムライ寿司や、カウボーイバーガー並にステレオタイプを助長している)。マクドナルドとまではいかないものの、急成長して全米中に店舗を持つチェーンである。

カフェテリアスタイルで、チャーハンか麺をサイドメニューとして盛り付け、十数種類の肉メニューから二つ、三つを選べる。米国人が大好きなエッグロールももちろん用意されている。本格中華とは程遠く、こってりとしたソースでアメリカナイズされた味付け。飲んだ後に寄りたくなる店である。





そのパンダエクスプレスが日本にも店舗を展開したらしく、そのうちの一店はなんと故郷、橋本駅前のサティ内にあったという。評判は予想通り微妙。橋本に進出する多くの店と同じようにはかない運命をたどったらしい。それにしても他のロケーションが国際色豊かな神戸なのに(こちらもつぶれてしまったらしい)、どうしてもう片方が相模っぱらだったのかは大いに疑問である。

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2010年1月8日

アップルは出版業界、ジャーナリズムを救うのか

2010年1月27日は新時代の幕開けになるかもしれない。

アップル社のメディアイベントで、タブレット型デバイスが発表されると噂されているのだ。タッチ機能付きのカラースクリーンを搭載し、大型iPhoneのようなものだという。

あくまでこんなものになるだろうという予想だが。。。


これまでにも、他社からタブレット型パソコンは発売されてきたが、ニッチな存在にとどまっている。単なるタッチスクリーン付きのパソコンでしかなかったからだ。

しかし噂が本当であれば、アップルのタブレット(名前はiSlateだと言われている)は、クールな薄型パソコンに終わらず、我々の生活やいくつかの業界のあり方を大きく変える可能性を秘めている。アップルがこれまで、MacやiPod、iPhoneでイノベーションを起こしてきたように。

iSlateは携帯電話やパソコンに取って代わる存在ではなく、その間を埋めるものになるだろう。パソコンは机の前に座って情報を調べたり、入力したりするのには問題ない。しかし、バッグに忍ばせて外出先で気軽に取り出して読むという使い方には、現在のノートパソコンは(ネットブックも含めて)向いているとはいない。かさばる上に起動時間がかかるからだ。携帯電話でという人もいるが、画面が小さすぎて長文を読むのは厳しい。人々が新聞や本を手放せない理由はそこにある。

アマゾンが発売しているKindleはそのギャップに目をつけた製品。インターネットを介して書籍や新聞を配信し、「読む」という機能に的を絞った。パソコンとの接続やら起動時間など、煩わしさを一切排除したことがヒットにつながったと言える。

人々が新聞や本を読まなくなったというのは半分ウソで、活字離れが進む一方、インターネットの普及でこれまで以上にボクたちが文字情報に触れる機会は増えている。アマゾンによると、先日、初めて電子書籍の販売数が紙書籍の販売数を超えたという。Kindleの成功は出版業界の新たな可能性を切り開いたのである。

iSlateはKindleの発想を更に進化させ、文字情報にとどまらず、写真や動画、音声をも楽しむことができる総合マルチメディアビューワーになると思われる。情報提供側は、あらゆるメディアを組み合わせた情報パッケージを携帯回線を介して配信し、受け取る側はそれをいつでもどこでも雑誌をめくるような感覚で観る(聴く)ことができる。以下の動画のような、タッチスクリーンならではのレイアウトも生まれてくるだろう。

スポーツ雑誌がタブレットにやってきたら。。。


ジャーナリズムもこれによって大きく恩恵を受けるのではないかと期待される。新聞業界は現在、広告収入と購読者数の減少によって大打撃を受けている。しかしニュースの需要は高まるばかりなので、問題はいかに情報を収入に換えるかである。

iSlateが広まれば、新聞や雑誌に近い感覚で人々がニュースを購読できるようになり、課金方法も月ごとや日ごとだけでなく、記事ごとや細かい時間制限までオプションが広がる。タブレットならではの広告の形が見つかるかもしれない。もちろん新聞社の大きな負担となっている印刷代や材料費もかからない。

ウェブサイトのニュースは常に内容が更新されるため、週や日ごとにパッケージとなっている従来の新聞や雑誌に比べて、時間の文脈を把握しづらい。何月何日はどんな一日だったかと振り返る際、新聞一面のレイアウトを見れば、すぐにイメージすることができるが、インターネット検索ではそれは難しい。その点、iSlateに配信される情報は、時間単位でアーカイブできる上、検索も容易だ。

ニューヨークタイムズ紙が既にiSlateに合わせたビジネスモデルを考えているとも報じられているし、一人のジャーナリストとして、1月27日の発表からは目が離せない。

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2010年1月6日

メーガンの法律

よく近所で顔を合わせている人が、実は元犯罪者だったらなんて考えたことはあるだろうか。

米国では、性犯罪者の個人情報公開を義務付ける法律が、連邦・州レベルで制定されている。州ごとに内容は異なるものの、性犯罪で有罪になった者は、刑期を終えた後も身元情報を登録し続けなくてはならない。名前、顔写真、住所、犯罪の内容や人種などがインターネットや様々なメディアを通して公開される。性犯罪者が転入する際に、周辺住民を集めて説明を行うコミュニティもある。

今朝、うちの新聞の一面に載っていた情報

これらの法律は、制定のきっかけとなった事件の被害者の名前をとって、俗に「メーガンの法律(Megan's Law)」と呼ばれている。再犯率の高い性犯罪から子供たちを守るというのが主な目的だが、その有効性や人権擁護の観点から賛否両論の声があがっている。

カリフォルニア州司法長官局のホームページでは、「メーガンの法律」に基づいて情報公開がされており、性犯罪者の居場所が簡単に調べられる(しかも日本語で)。ボクのアパートの周りでも、一マイル範囲内に16人の性犯罪者が暮らしていることが分かった。

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2010年1月5日

2010年はこの手帳

最近、日本は手帳がブームのようだ。米国人は日本人ほど普段使うアイテムにこだわらないため、StaplesやOffice Depotといったオフィス用品量販店で適当に選んだもので済ませることが多い。細かい使用感やデザインよりも、「使えればいい」ということなのだ。

ボクは学部生時代から、紙の手帳を愛用してきたが、昨年iPhone3GSを購入して、ついにデジタルに移行した。iPhoneのApp Storeには、いくつものスケジュール管理用アプリケーションが売られているが、なかなか自分の用途にピッタリのものはない。ボクは仕事柄、一日に何件もミーティングや商談が入っているわけじゃないので、分刻みの予定表なんかは不要。進行中の取材や記事の締め切りを空間上で見渡すことの方が大切である。あとは月々の家賃や電気代・ガスの支払いを管理する程度。

条件としては、月間カレンダーが見やすくて(iPhoneのカレンダーは、いちいち日付をクリックしなくては内容を見ることができない)、ToDo機能がついていることだが、この二つを搭載するアプリは少ない。だから初めはカレンダーとToDoで別々のソフトを使っていたが、いちいち起動しなおすのはやはり面倒であった。

そして昨年末にようやく見つけたのが、Pocket Informant


Courtesy of WebIS



Courtesy of WebIS


Pocket Informant (Calendar, Todos, GTD, Franklin Covey)Pocket InformantをApp Storeで開くにはアイコンをクリック

このアプリは値段はちょっと高いが、高機能なスケジュールとToDoの管理がいっぺんに行える。時間の細かく決まった予定と、優先順位のある作業を別々に入力するが、カレンダーにはその両方が表示される。Today(今日の予定)タブを開くと、その日にやらねばならないことが一目で分かるのもいい。更にカレンダーはGoogleカレンダー、ToDoはToodledoとそれぞれ同期できるので、パソコンとの連携やバックアップも心配ない。

時にアナログ手帳が恋しくなる時もあるが、iPhone一台で済んでしまう便利さには代えられない。

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