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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2010年2月17日

アジア人でよかった、、、と久しぶりに思った

昨日は初めて特定の裁判を取材した。これまでは前任者からの引継ぎが済んでいなかったので、関係者に顔を売る程度の気持ちで裁判所に通っていた。

どんな裁判ケースを取材すればいいのか、最初は検討もつかなかったが、ようやく先が見えてきた。新聞で取り上げた強盗・殺人事件については、なるべく動向を追うようにするが、それだけでは内容に偏りがでる。コーヒーをこぼして火傷し、マクドナルドを訴えるといったような、読者の興味をそそる面白い裁判を見逃してしまうこともある。

そこで重要になるのが人脈。裁判所に常駐する検察官や公設弁護士はもちろんのこと、裁判所の目と耳ともいえる、事務官や門衛との信頼関係を築かなくてはならない。彼らとの何気ない会話からネタを得るのだ。

昨日の朝は、二つの裁判を傍聴するはずだったが、別々の部屋で行われていたため、片方は見逃してしまい、もう一方は散々待たされたあげく、弁護人が現れずに延期になるという始末。どちらの裁判も、まだ形式的な段階で、すぐに記事にする必要はないので助かったが、訴訟国家とも言われる米国の現実を垣間見ることとなった。

一度にこれだけの犯罪者を目にしたのは生まれてはじめてのこと。殺人やギャング抗争、性犯罪に麻薬など、これまで映画やテレビでしか見たことのなかった世界が、一つの建物に凝縮されているのが信じられない。まだ高校生にも見える男の子が、麻薬関連で最長4年の刑を受ける可能性があると判事に言い渡されるのを聞いた時、大学の4年間を刑務所で過ごす自分を想像して身震いした。また別の男性は、以前裁判所に出頭するのを忘れたためか、門衛に廷内で手錠をかけられて拘置所へ。人の人生を左右するような出来事が淡々と行われている光景が衝撃的だった。

見逃したケースについて一応確認するため、公設弁護士のオフィスへ行くと、ロビーには弁護士を自費では雇えない人々であふれていた。受付に記者だと伝えると、すぐに担当の弁護士を呼んでくれた。やってきたのは何とアジア人。ラオスからの移民だという。受付では何だからと、彼のオフィスに場所を移した。

ボクがアジア人だったのが嬉しかったようで、裁判についてど素人だと伝えると、初対面にも関わらず裁判制度について細かく説明してくれた上、裁判所取材のコツまで伝授してくれた。うざい記者に付きまとわれるのを嫌がり、連絡先を簡単には渡さない関係者もいる中、彼は「アジア人同士だから、何かあったらいつでも連絡して」といって、名刺に携帯番号まで書いて渡してくれた。久しぶりにアジア人でよかったと思った瞬間である。

ビクタービルの裁判所では、公設弁護士に二人、検察官に一人と、アジア人は圧倒的なマイノリティー。だからこそ仲間意識が芽生えるのかもしれない。しかも偶然にも、最も有力な判事が日系人というので、近いうちに会って親しくなれたらと思う。

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