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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2010年6月9日

民主主義とジャーナリズム

火曜日に州の予備選挙が行われ、司法関連ということで、ボクはサンバーナディーノ郡の地方検事と裁判官選挙を担当した。

普段は注目を浴びることのない裁判官選挙だが、今回は、不適切な発言で波紋を呼んだロバート・リムコー裁判官が、再選を狙うということで、大きな波紋を呼んだ。対抗馬のジェームズ・ホスキング検察官は、巧みにこの悲劇を利用し、メディアに積極的に露出して知名度を上げた。それに対してリムコーは、事件をすっぱ抜いたうちの新聞に対して不信感を募らせていたため、独占インタビューをとるのにボクもかなり奔走する羽目となった。

新聞には締め切りがあるため、早い時間の開票速報をもとに記事を書かざるをえない。午後10時半の時点では、ホスキングが大きくリード。思っていた以上に人々の怒りは大きかったようだ。

初めて選挙を取材して感じたことを二つ。

1)人々はギャング、汚職や犯罪者に対して最も嫌悪感を示す
地方検事選では、現職のマイケル・ラモスが大きくリード。サンバーナディー郡で起きた、カリフォルニア史上最悪と言われる汚職事件を公訴したことは、ラモスにとって追い風になった。彼は選挙キャンペーンで、ギャングの取り締まり、汚職の追及と被害者権利の保護を強く打ち出していた。インターネット記事の読者コメント欄では、ギャングや政治家、犯罪者(もしくはそうだと疑われている者)に対して容赦ない罵声が浴びせられる。

2)民主主義は恐ろしい
何も民主主義に反対という訳ではない。しかし、選挙結果を見ていて、人々が価値観や論理ではなく、一時の感情や目先の利益にとらわれて投票していると、改めて思った。

不況の原因を政治家や投資銀行家に押し付け、メディアのセンセーショナルな報道に惑わされて、とにかく現職を引きずりおろすことに血眼になる。公立学校に問題があると訴える一方、増税には何が何でも反対。父親が息子と心中自殺したのを、一人の裁判官のせいにして、家庭裁判所の崩壊には目を向けずに、彼をひきずりおろすことで解決しようとする。

民主主義が機能するか否かは、選挙人が適切な判断を下す知識や能力があるかにかかっている。人々がブログや偏ったソースから情報を得る今の時代にこそ、優れた報道が必要とされる。ジャーナリズムと民主主義は切っても切れない存在なのだ。

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2 件のコメント:

  1. 同意。自分ら、おばかで勝手な民は長期的な視点や全体の中で政策に優先順位をつけたりなんてできない。Aも、Bも、Cもしてほしいのだ。例え、AとBが同時に達成不可能だとしても。
    それをちゃんと説明するのが政治家や裁判官で、さらにそれにいい意味で横串をいれるのが、メディアの役割だと思う。
    最近の選挙は、競争相手の不毛な汚職探しと、人気投票に完全に支配されてる気がする。アメリカは知らないけど。
    もうちょっと、長期的視点でバランスをもって、本質的な議論と世論形成がされるべきだよね。
    とか、いって俺も全然衆愚政治の一員を担っているんだけど 苦笑

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  2. >Rio
    正直、自分の生活で忙しいのに、なかなか政治についての情報なんか調べてる時間ないよね。受け手の貴重な時間を無駄にしないような報道をするよう心がけます。
    日本の政治は詳しくは追ってないけど、自民党は民主党のあら探しに躍起になってるみたいだね。

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