自己紹介

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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2010年6月25日

私が払います

「ペイ・フォワード」という映画がある。

主人公の少年が学校の授業で、「世界を変えるために何ができるか」という課題を出され、あるアイデアを思いつく。それは自分が受けた親切や優しさを、その相手にではなく、別の三人の誰かに返して善意の輪を広げていくというもの。「ペイ・バック」ではなく、「ペイ・フォワード」である。

この間、オフィスの近くにあるサブウェイに昼食を買いに行き、注文の途中で財布を忘れてきたことに気づいた。「オフィスに財布を取りに帰るから、サンドイッチをとっておいてくれませんか」と店員さんに頼んだところ、ちょうどレジで会計を終えた30代くらいの女性が、「彼の分も私が払うわ」と言い出した。

驚いたボクは、「オフィスがすぐ近くだから、いいですよ」と遠慮したが、彼女はカードを取り出してさっと支払いを済ませてしまった。ボクが熱心に感謝を述べると、その女性は、「いいのよ、他の誰かに渡してあげて(pass it on)」と言い、早足で出口に向かった。何とか彼女の名前がキャシーであるということは聞き出すことができた。

報道部に移ってからというもの、やれ何が欲しいとか、誰々のせいで生活が苦しいなどといった不満ばかりを耳にする。そんな毎日に正直うんざりしかけていただけに、今回のことは新鮮な体験だった。見返りを求めない親切心からは、もらったもの以上の幸せを感じることができる。

ペイ・フォワードは善意を渡す相手が、それを更に広めてくれるという信頼のもとに成り立つ。連鎖を断ち切らないためにも、キャシーの笑顔を忘れてはいけない。

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2 件のコメント:

  1. そういう人って、いるのね!!
    ぜひとも、それを pass it on してみてね。
    それが繋がっていったらすごいなぁ

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  2. Facebookからここに辿り着きました。
    とても心の温まる話でしたので、コメントを残させて頂きます。
    私も海外で生活しておりますが、アジアなせいか周りには素敵な人が集まっているように感じます。
    ただ、こんな素敵な出会いは私も体験した事がありません。
    アメリカ、行ったことはありませんが、日本と比べ敏感な国だと聞いています。
    お仕事がんばって下さい!

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