自己紹介

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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2011年1月31日

旅の社会科学

オレンジ郡のブレアという郊外の街を散策しに行った。ハイデザートから一時間ちょいとは思えないくらい緑が豊かでのどか。


雲一つない青空から太陽が照りつけて、病み上がりのボクも含めてみんなTシャツ姿。まだ一月だってのに。

アメリカ人がカリフォルニアに住みたがる理由が分かる。

帰りは高速を使わずに、下道を使ってオレンジ郡からサンバーナディーノ郡までドライブ。雄大なサンガブリエル山脈に向かって走るのは気持ちがいい。


内陸のサンバーナディーノ郡に入るにつれて、景色も変わってくる。オレンジ郡の住民はカリフォルニアでも有数の教育水準と所得を誇るが、サンバーナディーノ郡はその逆。

ハイデザートに向かうにつれて、徐々に街が廃れていく様子は明らか。小さくてオシャレな店やレストランは減り、大手のディスカウント店やファーストフード店が増える。

人種構成は、白人多数からヒスパニックだらけに変わる。ブレアで当たり前にいたアジア人は、サンバーナディーノではほとんど見かけない。

地域ごとの地理や経済状況が街の様子に反映されているのを観察するのが、ボクの旅の楽しみ方の一つだ。

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2011年1月30日

進むメディアの統合

うちの親会社のフリーダムコミュニケーションが、メディア・ニュース・グループ社と合併するかもしれないと、ウォールストリート紙が報じた。

いつものことながら、自社の大事なニュースは働いている社員には全く伝わってこない。社名の一部のはずのコミュニケーションは、どこへいったのか。自分たちのことを、他社にスクープされるのは恥ずかしい。

フリーダムが破産した時の債権者がメディアニュースの債権者でもあって、いくつか持っているメディア会社の統合を考えているとのこと。これは苦しい経営を迫られているメディア全般で起きている現象なんで、そう驚くことではない。

なんで職場で話題になったかというと、メディアニュースはうちの準競争相手であるサンバーナディーノ・サン紙を所有しているから。他にも近隣地域の新聞をいくつか持っている。もし親会社の合併が実現したら、近くの新聞同士の合併もありうるかも。少なくとも競争よりは、協力に変わっていくはず。

サン紙はサンバーナディーノ群全域をカバーしてると標榜してるけど、ハイデザートでの存在感は到底うちに及ばない。逆にうちは、ハイデザート以外の地区はほぼノータッチ。

若くて野心のある記者ナターシャは、もし競争がなくなったらつまらないとぼやいていた。ボクはというと、ニュースを聞いて始めに頭に浮かんだのが、もっとたくさんの人に自分の書いた記事を読んでもらえるかもしれないということ。それにサンと協力することで、もっと大きな仕事ができたり、いい記事が書けたりするかもしれないって思った。

どこまでも楽観的で危機感のない自分である。昔はもっと負けず嫌いなはずだったんだけど。


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2011年1月29日

郡の中央裁判所へおでかけ

早起きして、サンバーナディーノ郡の中央裁判所で、連続BBガン発射事件の公判を取材してきた。

ハイデザートを含むサンバーナディーノ郡は、大陸部アメリカ合衆国で最も面積が広い。郡庁所在地のサンバーナディーノまでは、ビクタービルから車で峠を越えて片道50分くらいかかる。中央裁判所へは、地元と関係のある大きな事件があると、たまに出かける。

サンバーナディーノ郡は、ロサンゼルスの近くや海岸沿いに住めない低所得者層がやってくるベッドタウン。それに合わせてギャングが引っ越してきたり、通りすがりの犯罪者たちが広大な砂漠に死体を棄てたりするんで、凶悪犯罪ニュースには事欠かない。

郡内には九つの地方裁判所があって、事件があると基本的には最寄の裁判所で扱われる。近くに人口の密集する中央裁判所は、普段ボクが通いつめるビクタービル裁判所の数倍はあるバカデカイ建物だけど、内装はやたらに古くてぼろい。サンバーナディーノの街の雰囲気といい、郡の金欠ぶりを猛アピールしている。

中央裁判所

今朝、取材したのは、郡内を走る高速道路で起きた連続BBガン発射事件。昨年、70台以上もの走行中の車の窓ガラスが割られた。数ヶ月経っても犯人が見つからないんで、カリフォルニア高速パトロール隊が業をにやして大捜索を行った。

覆面捜査官の目の前で、隣の車の後方ガラスを打ち抜いた犯人はその場で逮捕。ハイデザートで衛星放送の取り付け会社を経営する男性だった。しかも、奥さんが元うちの新聞社の社員。誰かに腹を立てての犯行という噂もあったけど、結局、動機は分からず。

司法取引がまとまったんで、今朝は刑の宣告が行われた。被告人の家族が約100万円の賠償金を支払ったのが確認された後、判事が懲役6年を言い渡した。被告人家族はノーコメントだったけど、法廷に来ていた奥さんは離婚を考えているらしい。

ちなみに、車に戻ると、ワイパーに駐車違反キップがはさんであった。どこまでも腹の立つ行政である。

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2011年1月28日

じつはすごいこと

iPhoneを使い始めてもうすぐ二年。もうこれなしじゃ生活できない。

どこでもインターネットに接続できるってのは、好奇心のかたまりである自分にとって最高の恵み。分からないことがあったら、すぐにグーグルのがクセになってる。

これってよく考えるとすごいこと。世界中の知がポケットに収まっちゃうんだもん。

子供の頃、人に聞く前に辞書で調べろと親に言われて、辞書を見つけるのが大変だから誰かに教えてもらったほうが早いのにって思ってた。でもたった10年で、自分で調べた方が誰かに訊くよりずっと早くて正確な情報を得られる時代になっちゃったんだな。

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2011年1月27日

ダウン

今の会社に勤めた三年間で初の早退・欠勤。情けない。

風邪がひどくて、昨晩はほとんど眠れなかった。一日休もうと思ったけど、五歳の男の子を拷問・虐待したギャング一家の予備審問があるんで、どうしても午前中だけはと自分に言い聞かせて、裁判所にでかけた。

そしたら検察官が告訴を提出し忘れてて、審問が直前で延期に。クーラーのガンガンにきいた法廷に座ってたら、症状も悪化。勘弁してもらいたい。

オフィスに行ったら、(いつものことだが)自分がいなくてもどうにかなると言われたんで、早退させてもらった。

体調管理のちゃんとできるプロにならねば。

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2011年1月26日

暴行犯にインタビュー

風邪と熱で頭が働かない中、暴行事件の審理を取材。タイレノールで熱は下がったけど、裁判所にいる間、ずっとボーッとしてた。

事件は、二週間前に二人の男が、被害者をバットでめった打ちにしたというもの。検察側が証拠を提示する日だったんだけど、その前に司法取引が成立してあっけなく幕引き。この程度の事件だと、検察や弁護人だけじゃなく、判事も取引で片づけたいというのが本音。

被害者のガールフレンドに話しかけると、どうやら三角関係が原因らしい。その女性は被告人の別居中の妻で、被告人は妻が浮気したのにキレて、被害者宅に押しかけた。

口論が殴り合いに発展。負けそうになった被告人を助けに、もう一人の男がバットを持って乱入。形成逆転した夫は、被害者にチョークホールドをかけ、もう一人がバットで殴り続けた。嫉妬は恐ろしい。

夫とその友人にはそれぞれ180日と270日の禁固刑が言い渡される。しかもストライクのおまけ付き。カリフォルニアでは、凶悪な犯行でストライクをもらうと、次に重罪を犯した時に刑が2倍になってしまう。ツーストライクで重罪を犯すと自動的に最低25年以上の不定期刑に処される。これをThree Strikes Law(スリーストライク法)という。

一方的な報道はしたくないんで、被告人である夫にも話を聞くことに。相手は一時の怒りで人を殺しかけた男。嫌な仕事である。

法廷の外で自己紹介すると、逮捕時の記事を読んだと言う。話しながら落ち着かないトラのように、ボクの前を行き来し、しかも微妙に口もとが震えているではないか。

やばい、しかも背が高い。思い込みのせいか、キレたら暴走するタイプにしか見えない。優しい顔とのギャップが恐怖を増幅させる。ピッコロ大魔王にインタビューする、天下一武道会のアナウンサー気分だ。

相手は被害者にやられかけた程度のやつだと自分に言い聞かせ、平静を装って質問を続けた。事件については話したくないみたいで、妻のことを今でも想っている様子。可哀想にすら思えてきた。妻の悪口を言い始めた付き添いの家族をとがめるなど、実はいいヤツだった。

早く立ち直って欲しい。

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お金が天から降ってきた

昨日、2010年度の確定申告を済ませた。

日本では給与所得者の場合、本人の代わりに会社が税金の清算を行ってくれるんで、確定申告を行うのは事業主くらい。でもアメリカだと、お金を稼いでいる人は、個人で確定申告を行う義務がある。毎年、4月15日が締め切りなんだけど、これが面倒くさいのなんの。

大学の財務論の授業についていけずに爆睡していた自分にとって、税金の書類なんてロシア語並みに意味不明。田園調布の小学生のお小遣い程度しか稼いでいなかった大学院時代ですら、「サルでもできる確定申告」サイトを5分で見限り、クラスメイトに代わりに入力してもらった。

今の会社で働き始めてからは、同僚に紹介してもらったフィリピン人会計士のおばちゃんに一存。おばちゃんの英語のなまりが強すぎて、80パーセントくらい何言ってるのか分からないけど、ちゃんと払いすぎた税金が戻ってくるので、気にしないようにしている。

おばちゃんに会っている時間はおそらく一年で5分足らず。それで70ドルは高いと思われるかもしれないけど、おかげで税金のことを考えるのは一年で5分で済んでいる。しかも今回は1000ドル以上、戻ってくるらしい。二週間くらい経って、確定申告など忘れかけた頃にお金が振り込まれるので、まさに天から幸せが降ってきた気分になれる。

プロいわく、アメリカ人は日々、いかに税金を節約するかを考えて生活しているらしい。
ただ、逆にいうと日本の場合は、節税の可能性が少ないともいえます。一方、米国においては、個人で申告を行なうことが義務付けられているため、非常に多くの節税の可能性があり、また税金対策を考慮に入れて、自らのファイナンシャルプランを考えることが、ごく当たり前のこととなっています。いかに税金を節約するか、米国民は日常から考えて行動しているといえます。
これは本当で、ボクの周りにも自分のことは自分でやるという意識が徹底している人が結構いる。

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2011年1月25日

コールドケース殺人事件:26年を経て

ハイデザートにはコールドコースと呼ばれる未解決事件が多いと、前に担当の刑事さんが言っていた。今はすごい勢いで人口が増加しているけど、20年くらい前までは、だだっ広い砂漠にぽつんぽつんと人が住んでいる程度で、犯罪が起きても目撃者や証拠は少なかったからだと思う。

今朝は1985年に起きた殺人事件の裁判初日を取材。被害者は寝室のベッドで裸で横たわった状態で発見され、死んでから数日経っていたので、体は腐敗していた。公判中に映し出された生々しい現場写真では、誰だか分からないくらいに顔がめちゃくちゃになっていた。

ベッドには精子が残されていたけど、当時の技術じゃDNA解析はとても無理ってことで、逮捕にはつながらなかった。それが科学の進歩によって、精子と今の容疑者のDNAが一致することが、25年の月日を経てようやく明らかに。アメリカでは殺人事件に時効はないので、数年前に発足したサンバーナディーノ郡のコールドケース班が事件を再調査し始めた結果だった。

コールドケースは事件から長い時間が経過しているので、証言者の記憶が曖昧だったり、亡くなったりしていることも多い。犯行現場も今とは随分と様子が変わっているかもしれない。今回の事件じゃ、被告人と犯人をつなげるのはDNA解析結果と状況証拠だけ。陪審員はどんな判決を下すんだろうか。

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2011年1月24日

現地採用は楽じゃない

日本でファーストリテイリングや楽天の国際化が話題になっている。どちらも英語の公用化に踏み切ったり、現地採用を増やしたりしているそうな。

これまでにも日系企業は海外進出を行ってきたけど、現地採用の職員を幹部起用するのは珍しいという印象。重要なポストは、日本から3、4年の期限付きでやってくる駐在員が占める。

裁判所で知り合った女性の息子さんが、ある日系企業に勤めているんだけど、どうにもモチベーションがあがらないらしい。聞くところによると、管理職は代わる代わる日本からやってくる駐在員が独占して、努力しても昇進の道は閉ざされているんだとか。

こういったやり方じゃ、キャリア志向の強い優秀な米国人は応募してこない。アメリカ人は仕事ができなくて、働かないと駐在員がよく愚痴をこぼしているけど、米国の雇用形態や文化を理解すれば、見方も変わってくるかもしれない。

日本で培われた企業理念やシステムを崩したくないという気持ちも分かる。でも文化や社会システムの違いを受け入れてこそのグローバル化じゃないかな。

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裁判取材の精神的負担

せっかくの週末なのに、熱が出て家に引きこもり状態。

ようやくホリデー気分の抜けた弁護士たちが、本格的に仕事に復帰し始めたせいか、裁判所が慌ただしい。水曜日から金曜日まで裁判所に缶詰めだった。一日に三、四つの審理を傍聴・取材し、5時近くにオフィスに戻って締切りまでに記事を書くという生活。休憩を取る暇もない。

しかも、毎日のように刑宣告があったので、被害者家族のスピーチや被告人とその家族の別れに立ち会わなければならなかった。

事業に失敗しお金に困って、全米中で偽造割引券を使って数万ドルを稼いだ65歳の男性は、懲役16ヶ月を言い渡された。手錠をされる直前に、結婚指輪をとって弁護人に渡し、涙を流す妻にレール越しにそっと別れの言葉をささやいていた。わずか数メートルながら、二人にとっては奈落の底くらい深い溝だっただろう。

未成年の教え子と性的関係を持った罪を認めたフィリピン人の高校教師は、重罪確定による国外追放の可能性を弁護人がきちんと伝えなかったとして、司法取引を無効にするよう判事に訴えた。約4時間に及ぶ主張は却下されたが、判事は最長365日の刑を364日に下げた。被告人の新しい弁護人の主張だと、懲役365日以上を宣告された外国人は自動的に国外追放になるとのこと。

宣告後に開示された裁判書類によると、17歳の被害者生徒が被告人に恋をしてしまったらしい。女の子は先生と性的関係を持ったことを否定し、今でも友人関係だと述べている。

法廷というのは、被告人にとって一生が決まる場。たとえ罪を犯した者であっても、誰かが苦しむ姿を見るのは辛い。だから審理の直前や最中に、弁護士や判事たちが談笑する光景には今でも違和感を覚えずにはいられない。

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2011年1月16日

話題の「ソーシャル・ネットワーク」

日本で「ソーシャル・ネットワーク」が公開され、話題になっているようだ。

ボクも数ヶ月前、こっちで公開された晩に同僚たちと見に行った。Facebookそのものが主眼ではなく、創設者マーク・ザッカーバーグの成功と喪失を描くヒューマンドラマ映画である。

裁判記録をもとにつくられているので、ストーリーの流れは事実に近い。ザッカーバーグは、どこか憎めないホリエモンといった感じで描かれている。個人的な見解だが、ソーシャルスキルに欠けるザッカーバーグにとって、facebookは他人との距離を埋めたいという願望の表れではないか。

日本人は匿名性を好むため、他国に比べてfacebookの浸透が遅いだろうと予想していたが、この映画によって日本でもユーザーが増えるはず。こういうサービスは、使う人が増えれば増えるほど使い勝手がよくなる。

自分はあまりfacebookを頻繁に利用する方ではないが、実は2004年の設立当初からのメンバーである。ボクがデューク大学に交換留学をしていた頃に、大学生同士を結びつけるサービスとして始まった。

MySpaceほどではないが、レイアウトがゴチャゴチャしていたり、くだらんつぶやきが多くて、mixiに比べて見る気が起きなかった。それでも最近は利用者が大学生以外にも広がって、メールに代わる連絡手段や写真の共有サイトとして、チェックする頻度が増してきた。逆に匿名性の強すぎるmixiは、あまり使わなくなった。

面白いのは、日本とアメリカの友達が同じ書き込みや写真を見ていること。これまで全く別だと感じていた二つの世界がつながり始めているようで、何だか嬉しい。


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2011年1月9日

レーシックのキセキ

年明け早々に、レーシックを受けた。両目でわずか20分足らずの手術だったけど、一日経って目を開くと、かれこれ15年近くもお付き合いしてきたぼやけた世界とは、全く別世界が広がっていた。昨日は天気が良く、アパートの窓からは、深い青空とサン・ガブリエル山脈の境界線がくっきりと見渡せた。

今のところ、コンタクト装着時と同じくらいか、もしくはそれ以上にまで視力が回復している。視力が完全に安定するまでには、3ヶ月近くかかるとのこと。このまま順調にいってくれることを願う。(ちなみにアメリカでは視力表示が日本と異なる。20/20が1.0にあたるらしいが、未だしっくりこない。)

以前から眼球体操や視神経マッサージなどの視力回復に取り組んできたが、レーシックは値段が高く、目にレーザーを当てることへの恐怖心もあって、現実的な選択肢には入っていなかった。でも、レーシックを受けた同僚や弁護士たちが、口をそろえて「人生が変わった」と言うので、昨年末とりあえず検査を受けてみることにした。

ハイデザートにはレーシックを行っている眼科がないため、オンタリオという町のレーザー視力矯正センターを訪ねた。一時間ほどの検査を行った結果、視力がある程度のところで安定していて、角膜も厚いので理想的な候補者だとお墨付きをもらった。日本円にして40万円と手術費は安くはないが、いつかは受けるのであれば、数年を無駄にせずにすむと自分に言い聞かせ、最先端の手術を受けることにした(イントラレーシック/PRKというらしい)。

幸いにも、かかりつけの眼科医が矯正センターと提携していたので、手術前後の検査を自宅の近くで行うことができた。手術の二日前に瞳孔径測定を行い、半日ほど両目が光に敏感に反応していた。

手術当日と翌日は休みをもらうことができたが、前日は仕事がたてこんで、手術は頭の片隅に追いやれらていた。おかげで余計な緊張は避けられた。

当日は運転して帰ることができないので、ルームメイトに矯正センターまで送り迎えを頼んだ。連れ添いは手術の様子を窓ガラスごしに見ることができるのだが、ルームメイトは恐れをなして控え室で待つことに。

スタッフの説明では、一人の医者が一日に17件もの手術を行うという。片目あたり10分弱なので、かなり儲かる商売に違いない。

客を脅かさんばかりの表記がしてある同意書にサインをし、手術費用を払った後、手術室の近くにあるソファに座って順番を待った。

ようやく順番がやってきて一台目の機械の下に横になると、はさみのようなもので眼球を固定され、「トータル・リコール」のシュワちゃんを思い出した。そして機械から発射される光を見ていたら、突然目の前が万華鏡状態に。看護師さんに次の台に移ってくださいと言われ、立ち上がるものの、目の前が曇って何も見えない。

「見えますか」と聞かれ、「見えるわけねーだろ」と言い返したかったが、待合室で看護師さんが美人だったと耳にしたため、とりあえず平常を装い、「いや、全く見えないんですが」と応えた。すると美人(だという)看護師さんが手をとり、次の台まで案内してくれた。気分は一瞬で、シュワちゃんからラッキーマンへと変わった。

二台目の機械に移ると、ついにレーザー光線が照射された。目で緑色の光を追うだけで、レーザー自体は見えず、照射音と焼け付くような匂いが漂ってきた。コンピューター制御になっているらしく、レーザーが狙っている箇所からずれると、動作が止まり、そこからすぐに再スタートできるという。信じられない精密さだ。

レーザーが終わると、手術医がはけらしきようなもので眼球をなでているのが見えた。何も感じないので、自分の目とは思えない違和感があった。医者と看護師が談笑しているのが聞こえてきて、緊張が和らいだ。

手術直後に目を開けると、プールの中にいるようにぼけてはいるが、手術前より断然遠くが見えるようになっている。直後の検査によると、毛細血管に若干の出血が見られたものの、問題なしとのこと。その日はすぐに寝て、できる限り目を閉じているようにと言われた。

ゴーグルを着けてルームメイトの車に乗り込み、乗車中はずっと目を閉じていた。家に着いてIn-N-Outのハンバーガーとフライドポテトをむさぼり、マットレスに横になった以降の記憶はなく、15時間ほど眠り続けた。睡眠薬を生まれて初めて飲んだが、絶大な効果である。

翌朝起きて、外の景色を確認したときは、はしゃぎたくなったというよりは、懐かしい感覚にとらわれた。こんなにモノが見えるのは、小学生以来かもしれない。

しばらくはこの感覚に慣れると同時に、目を酷使しないよう注意しなくては。

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2011年1月2日

あけましておめでとうございます

今年の年越しは、外務省勤めでスタンフォード大学院に留学しているICU時代の先輩とその奥さんが、南カリフォルニアにまで遊びに来てくれた。

仕事後の30日夜は、ボクのアパートで大学時代の写真や動画を見て、そのくだらなさをおかずに存分に笑った。大晦日にはロサンゼルスの観光スポットをいくつか回って、ホテルの部屋でカウントダウン。なぜかどの番組も、西海岸時間のカウントダウンに、3時間前のタイムズスクエアの様子を再放送していてガッカリした。



大学時代、一緒にバカ騒ぎばかりしていた先輩がもうすぐ父親になるというのは、時の流れを感じさせる。高校や大学の仲間というのは、歳をとっても仕事だけじゃなくて人生やプライベートについても気兼ねなく話すことができる。似たような目標や価値観を持った人間が集まって、友達になるからだろうか。

今年はおそらく自分にとって転機の一年になると思うが、家族や友達という変わらない存在がいるというのは、大きな励みである。

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