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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2011年7月28日

なでしこブームはいつまで続く?

ニュースを見ていると、日本中がなでしこブームに沸いているようだ。

なでしこリーグの試合には数千人の観客が詰めかけ、雑誌やインターネットなどでは、なでしこジャパンに学ぶ経営論などといった便乗記事を目にする。彼女たちの活躍からすれば当然のことだが、心配なのは熱気が冷めた時である。

日本人はメディアやワイドショーの作り上げたブームに弱い。ボクはこれを勝手に、「クリスピークリーム現象」と呼んでいる。新宿サザンテラスに同名のドーナッツ店がオープンした際に、ワイドショーを見た人々が連日、長蛇の列を作ったことにちなんでいる。(アメリカでもクリスピークリームが、発祥地の南部から全米に店舗を拡大し、ブームになった時期があるが、今では業績不振で店舗閉鎖に追い込まれている)

アメリカでも日本でも、女子スポーツを含めたマイナースポーツは、オリンピックやワールドカップといった一時の盛り上がりに支えられている。オリンピックで個人や団体がメダルをとった後は、一気に盛り上がるが、4年間もブームが続くことは少ない。だけどその間も、選手たちはお金を稼ぎながら、毎日トレーニングを行わなければならない。

数年前に、なでしこリーグから、ハイデザートのセミプロチームに移籍してきた女子サッカー選手に取材したことがある。なでしこリーグの選手たちは、サッカー好きの投資家とアルバイトや親からの支援に頼りながら、大学や高校を卒業してもサッカーを続けているのだという。

少しでもいい環境でサッカーをしようとする意欲のある選手は、アメリカの大学やリーグに飛び込んでいく。もちろん通訳などはいない。アメリカの大学でプレイするには、教室内でもしっかり勉強しなくてはならない。しかも英語での授業。

男子の野球やサッカーと違って、彼女たちにレールは敷かれていない。自分の道は自分で切り開くしかないのだ。まばらな観客たちの前で声を張り上げてボールを蹴る彼女たちは、スポットライトを浴びて大金を得るためにスポーツをしているのではない。ただ、サッカーが好きで好きでたまらないのである。

なでしこジャパン優勝の陰には、そんなドラマがあることを知ってほしい。

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1 件のコメント:

  1. そうですね。大きな結果で初めて注目を浴びますが、そこまでの道は地味で目立たない。なでしこリーグの観客動員数は、世界一になるまでは1000人にも満たなかったそうです。

    そんな環境から世界一になったという、そのドラマにも感動と勇気をいただいた気がします。

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