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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2012年11月6日

マネーボール旋風が政治に?


米大統領選挙が明日に迫った。世論調査や大手メディアの報道だけを追っていると、接戦だという印象を受けるが、統計学を使って独自の予測をしているギークたちの間では、オバマ大統領が優勢との見方でほぼ一致している。

最新の全米世論調査では、オバマ大統領とロムニー氏の差は1、2パーセントポイント程度。しかし、アメリカの大統領選挙は選挙人団制度を取り入れているため、各州で勝った候補が、その州の選挙人を全て獲得する。だから、総得票数で上回った候補が勝つとは限らない。

アメリカには50の州があるが、勝敗を決めるのは、民主党や共和党のどちらが勝ってもおかしくないswing states(揺れる州)と呼ばれる州である。今回はオハイオやウィスコンシン、ネバダ、アイオワなどの州が勝敗の鍵をにぎると言われている。

データギークたちは、数十もの世論調査の結果を総合して、それぞれの州で支持率の平均をはじきだす。それを過去の統計データと比較して、各候補の勝率を計算する。各世論調査ではほとんど差のないswing statesでも、サンプル数を増やすことで、より正確な確率が導き出せるとの考えだ。

選挙の統計的予測で有名なのが、ニューヨーク・タイムズに寄稿するネイト・シルバー氏。彼はセイバーメトリクスと呼ばれる野球の統計分析で名を馳せた後に、政治アナリストに転向した。2008年の大統領選挙では、50州中49州での勝者を的中させた。選挙前日の予想では、最も重要なオハイオ州で優勢なオバマ大統領が、90パーセント以上の確率で勝つという

前回の選挙では知る人ぞ知る統計的予測だったが、今回はメディアにも大きく取り上げられて、一般大衆からも注目を集めている。その注目度ゆえに、経験や”勘”を重んじる古参の政治アナリストたちからは、強烈な批判を浴びている。映画「マネーボール」を見た人は分かると思うが、セイバーメトリクスも10年ほど前にメジャーリーグで同じような扱いを受けた。

大統領選挙がメジャーリーグと違うのは、本番が4年に一度しか行われないこと。シルバー氏は必ずオバマ大統領が勝つと宣言しているのではない。オバマ大統領がロムニー氏に勝つ確率は、サイコロを振って1から5までの数字が出る確率と同じくらい。だからどっちかに金をかけろといわれたら、オバマさんにかけると言っているのである。もちろん6が出る確率も十分にある。

それでもシルバー氏の予想が外れたら、政治アナリストたちは待ってましたとばかりに、彼を叩くだろう。今回の選挙は両候補だけでなく、データギークたちにとっても命運を分ける戦いとなる。


ネイト・シルバー氏のインタビュー

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