自己紹介

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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。住宅バブル崩壊が南カリフォルニアに与えた影響を調査したシリーズ記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。

2017年7月12日

日曜出勤が始まったので、ちょっとつぶやいてみます

ほとんど人がいないオフィスに日曜出勤。
週末シフトが始まりました。

日曜の午後から夜にかけて、大きな犯罪や事故などの速報ニュース(breaking news)がないかをオフィスで監視し、もしあれば電話取材や現場に駆けつけるカメラマンから情報をもらって記事を書きます。

レジスターには速報チームがあるのですが、週末は記者が3ヶ月単位で持ち回りで担当。以前は、妻と過ごせる週末がつぶれるのでなるべく避けたかったのですが、レンが生まれてからは、家事をこなしたり、息子に何かあっても平日に休んで面倒をみられたりできるので、悪くないなと思うようになりました。

日本では過酷な仕事という印象がある記者職ですが、こっちでは自由がきいてライフバランスを取ることができる職場が多いような気がします。その反面、職の安定度や収入は低いですけど。

iPhoneでも聴ける警察無線


アメリカでは一般に警察や消防無線を公開しているので、速報記者はそこから流れる情報に常に耳を傾けています。今ではネットで聞くことができ、ぼくもiPhoneに専用アプリを入れています。

とはいうものの、無線の音声はあまりよくなく、雑音や専門用語が飛び交います。英語のネイティブではないこともあって、ぼくはこの無線を聞くのが苦手、というかほとんど理解できません。

え、それってまずくない?と思うかもしれませんが、物事なんとかなるものなんです。

前に勤めていた小さな新聞社で速報を任された時は、カメラマンや校閲の人にオフィスのスピーカーから流れる無線を聞いているようにお願いして回って、何かあったらぼくが警察に問い合わせるようにしていました。

レジスターでは、仕事というかほぼ趣味で一日中無線を聞いているフリー記者が何人かいて、発砲や大きな交通事故があればすぐに電話で知らせてくれます。

いつも言っていますが、英語が完璧じゃなくても記者は務まるのです。できないことを悩んだり、弱点を克服することに膨大な時間を割いたりするよりも、長所を活かす方法を考えるようにしています

全員がそつなく同じように仕事をこなすより、多様な能力やバックグラウンドを活かせる方がダイナミックなチームになるはず。

記者の葛藤


速報担当は無線だけでなく、ツイッターや高速機動隊のサイトなどもチェックしなくてはなりません。それと、3時間に一回くらいオレンジカウンティに20ほどある警察署や消防署に電話して、事件が起きていないか確認します(各市が独自の警察や消防を運営しているため)。

"Hi, this is Tomoya with the Orange County Register. Just calling to check if anything newsworthy is happening right now."(レジスターのトモヤですけど、何かニュースになるようなことは起きていませんか?)

というような電話をひたすらかけ続けるのですが、たいてい「何もなし」とウザい勧誘をあしらうかのような返答しかありません。記者の取材って、ほとんどがこういう風に地味なんです。

でも、事件とは突然起こるもの。しかも、なぜか夜遅く帰ろうとした時に限って飛びこんでくるんです。

一昨日の日曜は、郡中央のタスティンという街で、ギャング抗争だと疑われる発砲事件で23歳の男性がなくなりました。

悲しいことに、こういう事件は珍しくないので、記事は電話取材と警察発表をもとに20分くらいで書き上げた短いものでした。

でもこういう犯罪記事って本当によく読まれるんです。

何週間もかけて取材した調査記事よりも、プレスリリースをもとに書いた数行の記事が多くの人に読まれることはザラです。レジスターは全ての記事を無料で自社サイトに公開しているので、各記事がどれだけ人の目に止まったかがすぐに分かります。

発砲事件の記事も案の定、緻密なリサーチをして普段書く行政関連記事のヒット数をまたたく間に凌駕しました。

書く側としてはやはり複雑な気持ちになります。

それでも自分を奮い立たせて、地道な取材へと戻る。これがジャーナリストの宿命なのです。

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