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在米ジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスター紙で地域行政や調査報道を担当。アメリカで数少ない日本育ちの報道記者として、他にも現地の司法や経済、スポーツなど幅広く取材。カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞、オレンジカウンティ記者団協会の調査報道賞などを受賞。ジャーナリズムコンテストの審査員を務め、アメリカの大学生や高校生にライティングやジャーナリズムの指導も行う。

2017年8月21日

リベラル vs 保守:埋まらない米社会の溝

米メディアでは、シャーロッツビルでの事件が、この1週間の話題を独占していました。

特にトランプ大統領が、当初名指しで白人至上主義を批判しなかったり、責任は双方にあると発言したりしたことで、その対応に批判が集中。各地では、人種差別や白人至上主義に対する抗議デモが行われています。

オレンジ郡でも、オレンジという町でデモ行進が行われるというので、レジスターの記者として取材に行ってきました。

ダウンタウンの中心にある小さな広場には、オレンジ郡各地から老若男女100人ほどが集結。複数の地元左派団体がEメールなどで支持者に呼びかけたそうです。

オレンジ郡では黒人が人口に占める割合が2パーセント以下ということもあり、参加者のほとんどが白人でした。

「私たちはシャーロッツビルの人々のために立ち上がります。アルタナ右翼や人種差別は容認しないと一致団結するのです」と話すのは、まとめ役のリサ・ピーダーセン(45)さん。

自らを「人命活動家」と呼ぶ彼女は、他にもシリア爆撃やトランプ大統領に反対するデモをオレンジ郡で主催してきました。

参加者たちの多くは、トランプ政権に不満を持ち、シャーロッツビルの事件を見て、いてもたってもいられなくなったと言います。

彼らは人種差別やファシズム、ネオナチを批判するプラカードを掲げ、中にはトランプ大統領をヒットラーになぞらえるサインも。広場の周りを1時間ほど歩き回り、「沈黙は容認」、「ナチスは出ていけ」などと声をあげました。
デモ行進中ずっと叫び続けていたサラ・ブラッドフォードさん。

そこを偶然通りかかったという、オレンジ在住のサラ・ブラッドフォードさんは、デモ参加者たちに「あなたたちは偽善者よ!」と罵声を浴びせ始めます。参加者は愛を訴えておきながら、トランプ大統領にヘイト(憎悪)を抱くのはおかしいと言うのです。

熱心なキリスト教信者である彼女は、中絶に断固として反対。敬虔なクリスチャンであるペンス氏を副大統領に選び、不法移民を厳しく取り締まると宣言するトランプ大統領を強く支持しています。

真っ向から参加者と対立したのは彼女だけでしたが、他にも広場に居合わせた人にインタビューしてみると、トランプ大統領をシャーロッツビルの事件と結びつけて批判するのは納得がいかないという声が聞かれました。

共和党支持者のポール・ホフマンさん(62)は、人種差別や白人至上主義に反対するため、娘さんと一緒にデモに参加しました。政治的には保守寄りであるという彼は、「アメリカ愛国者」と書かれた帽子をかぶり、小さな星条旗を手にしていました。

ところがいざ来てみると、自分の娘も含め参加者のほとんどがリベラル派、半トランプであることに気付きました。デモの内容が自分の訴えとかけ離れていたと、彼は途中で集団を抜けます。

「私はトランプをあまり好きではない。でも彼をヒットラーと同等に扱うのは無知であり、建設的な話し合いを阻んでしまうよ」と言います。

リベラル派が白人至上主義とトランプ大統領への批判をひとくくりにしてしまったことで、人種差別に反対する保守派の人々と一緒に声を上げるチャンスを削いでしまったのかもしれません。

大統領選挙で表層した米社会の溝は、まだまだ埋まりそうにありません。
様々な主張な掲げるデモ参加者たち。

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